第3章 リーザス陥落
第78話 ホッホ峡の決戦Z(終)
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最初こそ、使徒達に怒りを覚えていたのだが、流石にここまでぐちゃぐちゃの、どろどろにされている使徒達を見て、同情をしてしまっていた。
「おい、状況はどうだ?」
「ああ、マリアさんが戦車を応急修理して、動作は問題ないみたい。……ユーリさんは、わからないけど……」
かなみが暗い表情をしている所で、ランスがげんこつを落とした。
「いった!! な、何すんのよっ!」
「馬鹿者、あの戦闘バカの事を心配するだけ、まーーーったく無駄だと言うのが、まだわからんのか? 無駄な事に頭を使わんで、オレ様の為に使え!」
「っ……」
まさか、ランスに慰められるとは……、と思ってしまったかなみ。
だが、横で倒れている使徒達が目に入るから、素直に感心が出来ない。
「つまりは、だ。もう勝ちだという事だな? オレ様の」
「ランスの、だけじゃないけどね。……間違いないよ」
「よしよしよーーーし! オレ様、大勝利だ! ……じゃ、もう1発ずつ、やっとくか。いや、2発ずつはイケルな! がはははは!!」
ランスの声に、完全に萎縮してしまう使徒達。
もう、止めてくれる? 人はいなかった。
「ふ、ふぇぇぇ……、いや、や…… やめ」
「も、も、やめて、っ……」
「む、むり、ぜったい、むりっぃ……っ」
首を動く範囲いっぱいいっぱい使って左右にぶんぶんと振るが、当然ながらランスには通じない。
「がーーーはははは! 却下だ! 祝杯だからな! そしてーーー! お仕置きを受けるが良い!!」
『や、やぁぁぁぁぁぁ―――――――!!!!』
再び、このホッホ峽に悲鳴が木霊したのだった。
〜ヘルマン第3軍 本隊〜
日がもうすっかり昇り、戦況は……最早見るまでもない状況に追い込まれていた。
最後尾にいる総大将であるトーマは、ゆっくりとその重い口を開いた。
「………完敗、か。引くぞ」
即座に撤退命令を出したトーマ。
だが、まだ足掻けると判断したガイヤスは首を縦に、直ぐには振らなかった。
「本隊だけでも、兵力は十分です。入口まで引き、陣を整え、戦う選択肢も……!」
確かに、もう1戦を戦う事は出来るだろう。
だが、それも最早負け戦になる事は明白だったのだ。相手は勢いがついており、更には戦車も健在なのだから。
それを冷静に計ったトーマは重く、唇を動かした。
「この地形で仕掛けられた時点で、半分は負けていたのだ。……これ以上は、傷口を悪戯に広げるだけだ。1つの判断ミスが、部下達を死なす結果となる事を、忘れるな」
トーマの言葉は、ガイヤスの脳裏に焼き付いた。今回の戦において、勝てる戦いだと浮き足立ち、何人の兵士を
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