Chapter 4. 『堕ちてゆくのはぼくらか空か』
Episode 27. Rainy, Sunny
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れとも、アンタも実は流行りネタ好きってか?」
「いやなに、単純な思いつきの興味さ。返答するのが嫌なら無視してくれても構わない」
部屋の最奥から一護を真っ直ぐに見つめるヒースクリフ。その言葉に、一護はこちらに背を向けたまま、数秒沈黙した。
「まあ、悪くはねーよ。少なくとも、スキルリストから引っこ抜く程じゃねえ」
「成る程……答えてくれてありがとう。用件は以上だ」
「……そうかよ」
意味わかんね、とつぶやき、一護が踵を返す。それに合わせるようにして私も前へと向き直り、正面玄関へ続く螺旋階段へと進んでいった。
◆
血盟騎士団の本部から退出しグランザムからホームへと帰還する途中で、一護は「用があるから先に帰っててくれ」と言い残し、独りで小雨の降りしきるロザージュの商店街へと行ってしまった。
残された私は仕方なくホームへと戻り、定位置のソファーへとダイブした。ここ数日のドタバタで蓄積した疲労のせいか、寝っころがった身体がやけに重い。このままソファーの中へと沈んでいきそうな感じさえする。
身じろぎするのも億劫で、不格好な体勢のまま私は目を閉じた。
「…………はぁ」
思わずため息が漏れる。惰眠を貪る心地よさ故ではなく、胸中にわだかまる澱のような暗い感情を吐き出すために。
ゆっくりと、重く、長い深呼吸を繰り返してみる。沈むに任せ、全身の力を抜いてみる。けれど、窓の外同様に陰鬱な雲が立ち込めた胸中は全く晴れない。それが嫌で、また一つ、ため息を吐く。
……まさか、こんなになるなんて。
彼への想いを自覚した。
たったそれだけなのに、少し一護と離れただけでこんなに寂しいと感じるなんて、思わなかった。一緒に行ってもいい? そう訊けなかったことをこんなに後悔するなんて、まったく思わなかった。
「一、護…………」
掠れ声で、小さく呟く。
途端に、胸の底から締め上げられるような感覚に襲われる。痺れにも似た疼きを抑え込むように、その場で自分の肩を抱く。感情がコントロール出来ず、体内で暴れ回っているように感じた。
その暴動を私は歯を食いしばって我慢し、耐え、堪え……きれなかった。
私はがばっと上半身を起こし、ウィンドウを開く。
すぐに表示されたマップの中で彼の名を探してみると、主住区の南端に反応があった。あそこは特にこれといったお店もないはずなのに、どうして。そう思いながら見ていると、彼の反応が主住区から出た。宙を駆け、さらに南の浮遊群島へと進んでいく。
なにをしているんだろう。無性に気になった。
別に、大したことじゃ、ないのかもしれない。
もしそうなら私が知る必要は無いし、仮にそれが大したことだったら、後で話してくれるだろ
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