暁 〜小説投稿サイト〜
Deathberry and Deathgame
Chapter 4. 『堕ちてゆくのはぼくらか空か』
Episode 27. Rainy, Sunny
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ーへ、もう一方が地面へと自動で高速射出され、接触すると無条件で貫通する。プレイヤーは貫通された部位を動かすことが出来なくなり、頭部にヒットすれば一本で全身を無力化できる。もちろん、一般(グリーン)プレイヤーには反応しない。

 では何故今回、私たちがこの餌食となってしまったのか。それは、このアイテム『バニッシュメント・チェーン』に備わる一つの機能に原因があった。
 この鎖、所有しているプレイヤーがオレンジ化していた場合、まず所有者自身を拘束する仕組みになっている。犯罪者が対犯罪者用アイテムを悪用することを防止するためのシステムのようだ。その特性が働く範囲は極めて広く、少なくとも半径二十メートルは効果範囲になることが後の実験で判明している。
 ラフコフの連中はこの機能を活かし、予め収納(ボックス)アイテムの中に納め、枝道に設置しておいたようだ。第一陣によって攻略組がラフコフとボックスの間に挟まる状況に誘導され、それを影から見ていた少数の第二陣がタイミングを合わせてボックスを解放。結果、鎖は射線上に居た多くの攻略組と、元の所有者である一部のラフコフの構成員を捕え、動きを封じたのだ。

 幸い、このアイテムは第一層の防犯ショップでしか売られておらず、しかもそこは軍が御用達として昔から敷地内に囲い込んでいる場所にあったため、アイテム流出の絶対量拡大の懸念はなかった。おそらくラフコフの連中が持っていたのは、最初期に出回ったものか、あるいは軍のメンバーから強奪などの手法で手に入れたものかのどちらかであろう。
 すぐにこの情報は公開され、警戒を呼び掛けると同時に、アイテムの処分を呼びかけているところだ。「効果の程は分からないケド、やらないよりはマシだナ」とアルゴが言いながら警告記事を作成していたのを思い出す。

 そうして回想を続ける私を余所に、騎士団中で唯一平常運転のヒースクリフは真鍮色の瞳で私たちを見渡すと、手短に労いの言葉を述べ、構成員から回収したアイテムの売却金額から均等分割で手当てを支払うことを告げた。別にお金欲しさに参加したわけではないので、特に有難みもなく頷いて受け取っておく。モンスタードロップではない、プレイヤーの骸から得たコルは、なんとなく重たいように感じた。

 最後に、近く行われるであろう六十一層のフロアボス攻略会議での再会を社交儀礼的に約束し、私たちは大部屋から退出していく。先頭のクラインとシュミットが出て私が続き、最後に一護が退出しようとした時、

「一護君」

 不意に穏やかな声が響き、一護を呼び止めた。後ろで一護が立ち止ったのを感じ、私も振り返る。両の指を組んだヒースクリフが感情の読めない表情でこちらを見ていた。

「なんだよ」
「『縮地』スキルの使い心地はどうかな」
「ンなこと訊いてどーすんだよ。そ
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