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ソードアート・オンライン〜Another story〜
キャリバー編
第216話 ヨツンへイムの異常と金髪の美女
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いの歌《バトル・カンタービレ》》。その効果は戦闘中に限り、ステータスがほぼ全て上昇すると言う極めて優秀なスキルだ。
レイナは習得した後も、熟練値を上げて、効果もより大きく、長くなるまでに鍛えている。
『それは、本人の歌声が綺麗だからだよ』と何人かは、レイナの事を褒めて褒めて、かなり顔を真っ赤にさせてしまった、と言う可愛らしい事もあったが、それは良い思い出の1つだ。
今回は、目の前の大型イベントに皆が集中しているのか、レイナの事をからかったりする者はおらず、ただただ、あの空中ダンジョン、もしくは、このヨツンへイムの世界を眺めていた。
そこに、一歩前に踏み出したリーファは、右手の指を口元につけて 高く口笛を鳴らせた。
その数秒後、風の音に混じって、――くおぉぉぉぉ………ん、 と言う様な啼き声が遠くから届いてきた。リーファに呼ばれた事が嬉しいのだろうか、その啼き声の主は直ぐに皆が見える範囲に現れる。『象水母』と表現したのは完璧だ、と思える姿、長く伸びる鼻と身体の下に伸びる無数のツタ上の触手が印象的な《邪神・トンキー》である。
「トンキーさ―――――んっ!」
アスナの肩から、精一杯声で呼びかけるユイ。すると、その呼びかけにも答える様に、もう一度、くおぉぉぉ……ん、と最初よりは短いが、啼いて返事を返してくれた。そして 更に力強く翼を羽ばたかせると、螺旋を描いて急上昇して、この場所の高さにまで到達した。
あまりの迫力。邪神クラスのモンスターをこうも間近で、無防備に見る様な事は滅多に無い為、初対面の数人は後ずさってしまう。
「へーきへーき。あいつ、ああ見えて草食だから」
確かに象も草食動物だし、水母は種類にもよるが、周知されているのは、主にプランクトンを食すると言う事だ。キリトは その見た目からトンキーの食生活を決めつけた様だが。
「でも、こないだ地上から持ってったお魚あげたら、一口でぺろりと食べたよ」
トンキーを愛してやまないシルフの女剣士は笑顔でそう答えていた。
「……
ヨツンへイム
(
ここ
)
で 狩りをしてた時に、上げればよかったな。水棲タイプのヤツも何匹か仕留めたし」
「うんうんっ リュウキ君も、トンキーの可愛らしさが判ったんだねっ?」
リュウキの呟きを訊いたリーファは 笑顔で同意を求める。……ここに
本人
(
トンキー
)
がいるのに、
本人
(
トンキー
)
を前に正直な感想を述べるのも忍びなく思えたリュウキは、軽く微笑を上げるだけだった。
「ちょ、ちょっとーっ なに? その笑い方っ! トンキーは可愛いもんっ! 間違いないもんっ」
何かが気に入らない笑い方だったらしく、両拳を振り上げて、熱弁するリーファ。それに答える様に、また くおぉぉぉん、と啼くトンキー。……ここ
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