Side Story
無限不調和なカンタータ 2
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れるまでには、相当な時間が掛かりそう。
どこまで情けないのよ、この男。
「僕達、人間は……こんな風に命を奪って、生きてるんだ……」
「そうよ? 人間は偉そうに、他者の命を踏みにじる悪魔は滅びるべし! とか言ってるけどね。私から見れば、自分の糧すら自力で獲れないヤツが、テーブルに足乗っけて何言ってんだかって感じ。他人任せに慣れた人間と、多くは単独主義で、自分の糧は自分の力で得ている悪魔。どっちのほうが、より生き物らしく、よりまともに生きてんのかしらね?」
おっと。カールが相手じゃ、皮肉になっちゃうかな。
涙目のまま、茫然と固まってしまった。
でも、これは私の本音。
私の耳目には、悪魔より人間のほうがよほど醜悪に見えるし、聴こえる。
人間は、集団生活で身を護る手段を得た代わりに、生物としての生き方を忘れたんじゃないかしら?
どいつもこいつも雑念まみれに迷走しまくってて。
纏う音も、全体的にザラザラとして気持ち悪い。
そしてその音は、これから未来、確実に劣化していくと見た。
だからこそ、カールの歌は手離せないのよ。
頭痛止めとして、死ぬまで大いに活用させてもらうわ。
でも!
あれだけ稀有な実力を、いじけてしょげた態度で濁されるのは!
やっぱり、どうしても我慢ならない!
なんとしても、こいつの性根をまっすぐに矯正してやる!
「悪魔に被害を受けた人の話はたまに聞いてたけど、そか。人間が動植物を食べてるのと同じで、悪魔にとっては人間が食料なんだね? じゃあ君も、最初に人間を食べた時は、すごく怖かったでしょう?」
「……別に。私は小さい頃から命の使い方を熟知してるし、あんたと違ってためらう理由は無いの」
「命の使い方?」
「そ。他の命を喰らいながら、死にたいだの可哀想だのとほざくバカ共とはここの出来が違うのよ。ここの出来が」
右手の親指で私の心臓辺りを指し示せば。
死んでも良いと、絶賛現実逃避中のカールは、目を逸らして落ち込んだ。
「君には、人間の命を食べて……生きて、やりたいことがあるんだね」
「は?」
また何を言ってるのかと呆れかけ
「カール。静かに立って、数歩後退」
「?」
指示に従ったカールを見届けてから、たき火に砂を掛けて炎を消し。
私自身も立ち上がって、その場を数歩分離れた。
光に慣れた視界を闇が包み、炎の熱を帯びた肌に夜の冷気が牙を剥く。
遠くから聴こえてくるのは、獣の遠吠え。
近くに反響するのは、風に揺れる木の葉のざわめき。
鳥の声もする。
「グリディナさん?」
「黙って」
神経を集中させ、空高く、地中深く、前後左右の気配も慎重に探る。
特に変
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