9部分:第九章
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かに笑っている。何とコンタクトに変えてメイクも穏やかな感じだ。しかも服もいつものタイトミニとベストにネクタイではなくしっとりとした淡いピンクの丈の長いワンピースである。髪もストレートの下ろしている。
「あれ誰だ!?」
「誰だってよ」
クラスの面々は教壇に立っているその女の人を見てヒソヒソとは梨をする。
「新井先生じゃねえか」
「嘘だろ!?」
すぐにそれを否定する声が出て来た。
「人が違うじゃねえか」
「違うっていうかな」
今日子先生を見ながら話をする。
「別人にしか見えねえよ」
「っていうかさ」
女の子の間でも言葉が出る。
「女の人ってお化粧で変わるけれど」
「あれは幾ら何でも」
「眼鏡でもないしね」
とにかく目の前の今日子先生に唖然とするばかりであった。しかもその雰囲気まで全然違っていた。別人にしか思えないものがあった。
「体育祭の後ですが」
「それか」
忠直はその言葉を聞いて眉を顰めさせた。緊張により。
「どうなるんだ?」
「どうなってもいいんだろ?」
それに健三が突っ込みを入れる。
「昨日言ったよな」
「男に二言はない」
忠直は腕を組みはっきりと言い切った。
「だからだ。覚悟は決めている」
「そうか。ならいいがな」
「何処でも騒いでやる」
本音はこれであった。
「それだけだ」
「そうだな。さて」
健三は忠直の話を聞いてからまた今日子先生に顔を戻した。
「どうなるかな」
「屋上で打ち上げパーティーをすることになりました」
「おっ!?」
「マジ!?」
皆その言葉を聞いて一斉に驚きの言葉をあげた。とりわけ忠直と健三はそうであった。二人共驚きを隠せないようであった。
「皆で楽しくやりましょう」
「どういう風の吹き回しかな」
健三はそれを聞いて忠直に言葉をかけてきた。
「これってな」
「さてな」
忠直は話が少しわかっているようであった。
「彼氏の言葉だったらいいな」
「そうだな。何か俺達が勝手に騒いだだけか?」
健三はふとこう思った。しかしそれでも悪い気はしないのであった。
「まあいいか」
「ああ」
そして忠直もそれに頷くのであった。
「いいものが見られたしな」
「そうだな。きっかけをな」
二人は笑い合っていた。そうして言葉を交えさせる。
「見られたっていうのはな」
「そういうことだな」
「では皆さん」
今日子先生は二人の視線に気付くことなく話を続けていた。確かにそれはこれまでの先生ではない。
しかしそれが本当の先生であるというのは二人は知っていた。そんな先生を見て楽しそうに笑う二人であった。
変わるきっかけ 完
2007・12・23
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