8部分:第八章
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そして先生に対して頷くのであった。にこりと笑って。
「だって。やっぱりね」
「有り難う」
先生は甘い顔で憲次の言葉を受けて微笑む。
「その言葉が嬉しいわ」
「ところでさ」
ここで先生に対して言ってきた。
「何?」
「生徒達にもそんなふうでいているのかな」
「そんなふうって?」
「今日子ちゃんいつも優しいじゃない」
そう今日子に対して言うのであった。
「僕に対しては。自分の生徒に対してはどうなの?」
「えっ・・・・・・」
先生は彼氏にそう問われて顔を強張らせた。二人はそれを聞いて目を顰めさせるのであった。
「何か先生ってな」
「ああ、そうだな」
健三は忠直の言葉に頷いた。
「俺達の前ではあえて厳しいふうに装って」
「彼氏の前ではあんなにデレデレだったんだな」
「デレデレっていうかよ」
忠直は先生を見ながら言う。
「あれが地なんじゃないのか?」
「先生のか?」
「ああ」
そして健三の言葉に応える。
「あれだけ自然だとな。そうとしか思えないぜ」
「地かよ、あれが」
健三はそのことに驚きを隠せない。まさかとは思うが。しかし忠直の言葉が嘘ではないことは今の先生を見れば見る程十干できるものであった。
「しかしそれだとするとかなり」
「女の子みたいっつうかな」
忠直は首を捻りながら言葉を選んで出す。
「乙女チックだよな」
「そうだな」
「誰にでも優しくして欲しいな、僕は」
憲次はそう先生に語るのだった。じっと先生の目を覗き込んで。
「だって今日子ちゃんはとても優しい女の子だから」
「だからなのね」
「僕にだけ優しくしないで」
彼はまた言う。
「皆にも。それは駄目かな」
「皆にも優しくなのね」
「そうだよ」
また憲次は先生に言った。
「僕はそうして欲しいけれど。駄目かな」
「それは」
「今日子ちゃんはその方がずっと奇麗だし」
言葉が殺し文句になってきた。
「皆にもね。御願いだよ」
「憲次君にそう言われると」
先生も弱かった。その整った大人の女性の美貌をたたえた顔を赤らめさせて言う。
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