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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第十七話 カイザーリング艦隊(その3)
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惑星リューケンでの行動をそう思ったのだ。そして、俺のことを調べだした。妙な事に気付いたろう。士官学校在籍中に帝文に合格、軍務省の官房局、法務局へ進まずに兵站統括部へと進んでいる。
わざと目立たない部署への配属を選んだとしか思えない。決定的だったのは、俺の戦闘詳報が原因でクライスト大将とヴァルテンベルク大将の首が飛んだ事だった。オーディンでは知られていないが、イゼルローンでは結構有名らしい。シュトックハウゼンとゼークトのどちらかが喋ったのだろう。そして今回の俺の人事だが人事局長ハウプト中将が直接絡んでいる。
「彼らの疑いはもっともだよ。俺がその立場なら同じように考えたろうね」
「私は皇帝の闇の左手じゃないよ、ギュンター」
「判っているよ、エーリッヒ」
「ヴァレンシュタイン大尉。私はこれからオーディンへ連絡をいれるつもりだ。憲兵総監も軍務尚書も大騒ぎだろうな。卿はどうする」
「そうですね。小官もミュッケンベルガー元帥に連絡を入れなければならないでしょうね。なんせ、哨戒任務は出来そうにありません。いや、艦隊の維持さえ出来るかどうか」
ミュッケンベルガーは怒るだろう。こう不祥事が続いてはエーレンベルクもシュタインホフも怒るに違いない。しかし死なずにすんだのだし、事件も解決の目処がついたのだ。先ずはその事を喜ぼう。ともすれば暗くなりがちな心を励ましながら、どうミュッケンベルガーに話をするかと俺は考え始めた。
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