5部分:第五章
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って」
「彼女ができたのに嫉妬しているのか?」
「そうだよ」
さらに不機嫌な顔で忠直に言う。
「何でこんなに簡単に御前にな」
「俺はもてるからな」
ここでも忠直は不遜なまでに自信に満ちていた。そんな彼を見て健三はいい加減頭痛を覚えてきた。今日子先生のことよりこっちの方が問題だとさえ思っていた。
「だから簡単にな。ああそうそう」
「それで何だよ、今度は」
「ちゃんと最後までいったぜ」
彼は笑顔で言う。
「あの人の部屋でな。やっぱり年上の女の人ってな」
「それ位俺でもしてるよ」
健三も憮然として言葉を返す。
「中学生の彼女とな」
「おい、犯罪者」
素直に自分にも彼女がいてやることはやっていると不機嫌そのものの顔で言い返すといきなり忠直にこう言われた。
「中学生に手を出したらまずいだろ」
「御前に言われたかねえっ」
流石に彼も忠直には言われたくはなかった。
「ったくよお、何で御前がそんなに上手くいくんだ。俺はそこまでこぎつけるのに苦労したってのによ」
「これも人徳だな」
忠直はまたしても自分に都合のいい解釈をする。
「俺の前世からのな」
「じゃあ来世ではゴキブリかカマドウマに生まれ変わるな」
言葉にいちいち突っ込むのも疲れていたがあえて突っ込む。
「人徳の話になると」
「何か御前冷たいな」
「気のせいだと思ってくれ」
これ以上話をするのもあれなので打ち切ることにした。
「それでだ」
「それでって何だよ」
忠直は健三の言葉に顔を向ける。
「マンションには何時行くんだ?」
「今日だよ」
彼はあっさりと言う。
「今日行くぜ」
「何か動きが早いな」
「当たり前だろ、もう時間がないんだからな」
「そりゃ誰かさんが三日も時間を潰したからな」
健三はそう忠直に嫌味を言う。
「まあ今日なら今日でいいけれどな」
「反対はしないんだな」
「するわけないだろ」
彼はまた忠直に対して言うがその目はさらに不機嫌なものになっていた。
「屋上でパーティーするんだろ?」
「どうしてもな」
彼もその言葉に頷く。忠直は本気であった。
「やってやるさ」
「そうか。じゃあ行くぞ」
忠直に対して声をかける。
「今日授業が終わってからな」
「彼女の家に行くからな」
「彼女の家にか」
健三はそれを聞いて何か不機嫌な顔のままで言うのだった。
「悪いか?」
「悪いっていうかよ」
彼はさらに不機嫌な顔になる。それが何故かは彼もわかっていることであった。
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