暁 〜小説投稿サイト〜
変わるきっかけ
4部分:第四章
[2/2]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
酔いも何時の間にか消えていた。
「儲かってやりたい放題なんてな」
「あの爺の飯は一食数万円らしいぜ」
「ふざけるなってんだ」
 健三はこれには本気で怒った。
「政治家でもそんなの滅多に食ってねえぜ。普通の金持ちでもよ」
「そうなのか」
「皆案外質素なんだよ」
 実際のところはそうなのだ。何故か社会の木鐸である筈のマスコミだけが不景気の中でも贅の限りを尽くしてきている。戦後日本の七不思議の一つである。強いて言うならばそれこそ口裂け女や人面犬に匹敵する。おそらく錬金術を使っているのであろう。
「そんなもんだよ。何か余計に腹が立ってきたな」
「じゃあわかるな」
「ああ」
 忠直の言葉に頷く健三であった。
「体育祭の打ち上げとあの爺の一刻も早い地獄行きを祈る為に」
「パーティーを実現させるぜ」
「わかったぜ」
 二人は今誓い合う。そうしてその為に最大の障害今日子の攻略に取り掛かるのであった。ところがこれが予想以上に困難なのであった。
「駄目だ、手懸かりがねえ」
「俺もだ」
 三日後二人はその屋上にいた。そうしてそこで話をしていた。
「あの先生学校終わったらすぐに車でマンションだからな」
「買い物とかもしないしな」
 健三はそれも言う。
「プライベートの動きってないよな」
「移動は全部車だからな」
 だから何も掴めていないのであった。
「しかもな。車はダークミラーで中は見えない」
「駐車場もマンションの住人しか入られないしな。カード制で」
「参ったな」
 忠直はあらためて溜息をついた。溜息をつきながら昼食にパンと一緒に買った野菜ジュースを飲む。人参とトマトの味を味わいながら話をする。
「このままじゃよ」
「ここでパーティーなんてできねえぞ」
「そんなことになってたまるかよ」
 しかし忠直は全く諦めてはいなかった。
「何があってもここだ。絶対にな」
「俺もそのつもりだけれどよ」
 健三は鮭のお握りを食べながら忠直に言う。
「このままじゃやばいぜ」
「それもわかってるさ」
 二人は屋上で胡坐をかいて背中をフェンスにもたれかけさせている。そうして昼食を食べながら話をしているのだ。そこで忠直はふと思った。

[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ