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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜銃声と硝煙の輪舞〜
On the stage
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っかりと見ておけばよかった、と今更ながらに思う。

一歩が、重い。

足裏を地面につけるたびに五寸釘でも撃ちこまれたかのような衝撃が脳髄を揺らす。視界も安定しない。赤っぽい色が縁を覆い、先の爆発のせいか右目の焦点が微妙に合わない。

だが、それを越えて。

鬼は一歩を踏み出す。

―――兄様。

「おぉ狂楽かぁ?こぉいう形で手前ぇの声聞くのは初めてだなぁ。レンはどうした?」

―――どうしたもこうしたもないよ。暴れて手が付けられない状態。仕方ないから《部屋》の中に置き去りにしてきた。

「く、かっかか!そりゃぁ傑作だぁ!クーデターってヤツかねぇこりゃ?」

走りながら高らかに笑う小さな影に、脳裏の声はなおも囁く。

―――兄様、本当に……。

「………………」

ゴッ……ゥンン、という鈍い轟音と、遅れて地を這ってきた衝撃が頬を叩く中、遥か先――――山麓地帯の合間をわだかまる闇を切り裂くような閃光が立て続けに光った。

それが紛れもない戦場を表すものだと、確信する。

「……お前ぇには、本当にすまねぇと思う。だが、これぁやっぱり、俺らがカタぁつけなきゃいけねぇんだよ。他でもない。《災禍の鎧(オヤジ)》から生まれた欠片として、俺達は戻らなきゃいけねぇ。(たす)けねぇといけねぇんだ」

―――…………………。

いっそうの加速をする矮躯が、すでに岩肌に変わった地面を蹴り飛ばす。

限界以上の稼働を推し進められた全身の各所から力が一気に抜けていくのを感じる。

だが――――

「ッ!!?」

その身体を。

真後ろから抱きすくめる、腕があった。

「……なッ、お前ぇ……」

《絶剣》ユウキ。

完璧に先を越された状態にもかかわらず、追走し、あまつさえ加速中の鬼を担ぎあげたのは、強い意志を秘めた一人の少女だった。

静かに、しかし少年では出せない安定した走りを見せるユウキは、強い意思を持つ少女は、強い意志が込められた言葉を放つ。

「君が誰なのかは関係ない。だけど、レンの身体を使っている以上、協力くらいさせてよ」

「……ハッ」

上等、と。

吊り上げるように歪んだ口角の合間から軋るような声を出し、次いで狂怒はただ一言。

もう見えてきたマークUの巨体をしっかりと見据え、宣言するように言葉を放つ。



「投げろ」



同時。

ユウキは駆けていた脚を岩盤に埋没するほどに力を込めて急制動をかけ、放り出された少年に対し、瞬間的に出した光り輝く長剣――――《絶世(デュランダル)》の刀身の腹を差し出した。

その上にふわり、と小さな足裏が乗せられたのを視覚の度外で感じ取った瞬間――――

撃発。

雷速のごとき迅雷の
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