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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百五十一話 二重スパイ
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ーンが帝国に協力的か、それとも非協力的な対応を取るか、そういう事か」
「そういう事だ」

なるほど、フェザーン侵攻は反乱軍制圧作戦の一環として行われる作戦だ。反乱軍の勢力圏へ攻め込むとなればフェザーンはその後方になる。補給物資の調達、その輸送、通信の中継地、そして通路としてどの程度使えるかはフェザーンがどの程度協力的かによる。無視できない問題だ。コーヒーを口に運ぶ、うむ、良い香りだ。

「その度合いによって作戦にも変化が生じる。それで統帥本部の参謀と情報部、そして憲兵隊がここに集まって確認、検討したんだ」
「それで状況は」
俺が問いかけるとギュンターが答えた。

「良くない……。情報部も憲兵隊も独自にフェザーンに人を入れている。お互いの情報を突き合わせてみたが思ったほどフェザーンでは反同盟感情が強くないという結論が出た。見込み違いだった」
ギュンターの発言にエーリッヒが顔を顰めた。珍しい事だ、どうやら見込み違いの度合いはかなり大きいらしい。

「同盟がフェザーンを占領すれば状況からしてフェザーンを搾取すると思ったんだがそれが無い。どうやら彼らはダイエット中らしいよ、甘いものを必死に耐えている」
エーリッヒの言葉に皆が笑った。もっとも笑いを作った当の本人は顔を顰めたままだ。ココアを飲んでも顔が直らない、それは本当にココアか?

「フェザーン解放は侵攻時の大義名分だが、フェザーン人の心に訴える物ではないようだ。他の何かが必要だね、フェザーン人の心に訴える何かが……。これからそれを見つけなければ……」
最後は溜息交じりだ。どうやら笑いごとではないらしい、エーリッヒは相当に参っている、そして疲れてる。

「いっそクーデターが成功していれば良かったんだが……」
「あの主戦派の起こしたやつか」
「うむ」
俺とギュンターの会話にエーリッヒも頷いている。

「主戦派ならフェザーンを搾取してくれた。我々もそれを理由にフェザーンに攻め込めた。フェザーンも我々を歓迎してくれただろう、……上手く行かない……。おまけに同盟とフェザーンは政治的連携を強めようとしている。思ったより厄介な相手だ、ここまで手強いとは思わなかった……」

嘆くエーリッヒを横目にギュンターを見た、彼も憂欝そうな表情をしている。政治的連携か……、両者が帝国を敵として協力体制を結ぶという事だろうが確かに厄介ではあるな……。コーヒーを一口飲んだ、話題の所為かな、少し苦い様な気がする。

僅かな沈黙の後、大きく息を吐くとエーリッヒが首を横に振った。
「嘆いていても仕方がないな、そちらの話を聞こう。卿の要望通り、ギュンター・キスリングもいる」

エーリッヒの言葉にギュンターがニヤリと笑った。悪徳コンビだな、この二人には随分と痛い目にあった。最初は士官学校、最後は
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