第十話 エレオノールの訪問
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「はい、またお相手できる日をお待ちしています」
「では、途中まで一緒に行きましょうか」
「……あ、あの! マクシミリアン殿下!」
マクシミリアンがエレオノールを伴って部屋から出ようとドアの辺りまで進むと、エレオノールに呼び止められた。
「何でしょうか? ミス・エレオノール」
「カトレアの事、どうかよろしくお願いします!」
ペコリと、頭を下げた。
「殿下から手紙が届くたびに、あの子が、カトレアが、あんなに楽しそうにしているのを見て、私たち家族も、どれだけ励みになった事か。マクシミリアン殿下、どうか、どうかカトレアを救って下さい。幸せにしてあげて下さい」
再び、頭を下げ、去っていった。
「……」
エレオノールの言葉に、そして、家族の絆にマクシミリアンも思わず背筋がピンと、引き締まる思いだった。
「……任せてください。幸せにして見せますよ」
グッと拳に力をこめた。
☆ ☆ ☆
ラ・ヴァリエール公爵に呼ばれ、公爵の私室へ向かうと、公爵の他にもう一人、見た事の無い貴族が立っていた。
「マクシミリアン殿下、わざわざお呼び出ししてしまいまして、大変、申し訳なく……」
「いえ、お気になさらずに。それよりも、そちらの方は?」
マクシミリアンが視線を貴族の男に向けると、男は一歩前に進み、一礼した。
「ご尊顔を拝しまして恐悦至極に存じます。私、ワルド子爵と申します。明日、我が屋敷にてパーティーを催す予定でございまして、是非、マクシミリアン王太子殿下にもご足労頂きたくお願いの使者として遣って来た次第にございます」
「私とワルド子爵とは、領地も隣接していますし軍務などで何かと一緒になる事が多いものでして……」
ヴァリエール公爵がワルド子爵との関係を説明していた。
「なるほど、では改めてまして……初めまして、ワルド子爵。パーティーの件ですが、飛び入りのようなタイミングで恐縮ですが、喜んで参加させていただきましょう」
「おお! 有り難き幸せ」
ワルド子爵とのやり取りで、肩がこりそうになったが。
(ワルド夫人に会えばカトレアの病気について何か手がかりを掴めるかも知れない。なにより渡りに船だ、利用しよう)
と、いう下心も有った為、パーティーに御呼ばれする事にした。
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