暁 〜小説投稿サイト〜
水の国の王は転生者
第十話 エレオノールの訪問
[4/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
こで殿下、お願いがございます」

「……?」

「もし、カトレアと破談になったら……私と婚約して欲しいのです」

「んんっ!?」

マクシミリアンは思わず口のものを吹きそうになった。

「コホッ……本気ですか?」

「はい、本気です」

「たしか、ミス・エレオノールは他の方と婚約されてると聞いてますが? それはどうされるのですか?」

「それは……取り消してもらいます」

(それじゃ、先方は納得しないだろうに……)

エレオノールの稚拙な方法に内心呆れる。

「まあ、ミス・エレオノールの婚約話は置いておくとして。そもそも、何故そのような事を言い出したのです? ヴァリエール公爵は承知しているのですか?」

「いえ、お父様もお母様も知りません。まだ誰にも話していません」

「それなら……」

「もし、このカトレアとの婚約が破談になってしまったら、ラ・ヴァリエール公爵家はトリステイン中に恥をさらす事になります!」

いきなり怒鳴り声を上げたエレオノールに思わずびっくりしてしまった。

「ミス・エレオノール、落ち着いて……」

「私は、私はそれを避けたいんです!」

「……」

その後も、散々まくし立てるエレオノール、その口調も徐々に早口になる。
マクシミリアンはエレオノールに落ち着くよう説得しようとしたが、間に割り込む隙が無いままエレオノールの独演会になりかけていた。
しかし、息継ぎ無しで一気にまくし立てたため、エレオノールの独演会は終了、苦しそうに息を整える。
マクシミリアンはこの機を逃さず、話に割り込んだ。

「ミス・エレオノール」

「っく、は、はい」

「ミス・エレオノール、先ほどから聞いていれば、貴女は自分の事しか考えてないように聞こえます」

「それは……」

「ラ・ヴァリエール公爵家を救うために我が身を犠牲にする。貴族の娘として、大変、結構な事と思いますが……」

「……」

「もし、ミス・エレオノールと婚約したら、他の貴族は黙ってはいないでしょう。嫉妬に狂って『王権の私物化だ!』とか『ラ・ヴァリエール家の専横を許すな!』とか……散々騒ぎ立て返って、ラ・ヴァリエール公爵家とトリステイン王家を、ひいてはトリステイン王国全体を窮地に立たせかねません」

エレオノールは『ハッ』とした顔をして、マクシミリアンを見た。

「……ともかく。ミス・エレオノール、この話は聞かなかった事にしましょう。それに好きでもない男に嫁ぎたくないでしょう?」

エレオノールにウィンクして、この場を和ませようとした。






                      ☆        ☆        ☆ 









[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ