第十話 エレオノールの訪問
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いよ。ちょっと小腹が空いたし軽く食べ物を。それと眠気覚ましになる物をを頼むよ」
「ウィ、殿下」
セバスチャンは一礼すると退室した。
マクシミリアンはカルテのページをペラペラと捲り、目当てのページに行き着いた。
『ワルド』と、いう人物がカトレア施した治療……というより人体実験。
『カトレアは魔法を使うと原因不明の発作を起こす』
そこに目を付けた『ワルド』は、妙な装置をカトレアに着けて魔法を使わせ、カトレアの体内でどの様な変化が起こっているのか検査する。そういう計画だった。
だが実際に、この人体実験が行われたのか、カルテには書かれていなかった……結果も書かれていない。
マクシミリアンもカトレアの発作の事は、どう扱ってよいやら悩んでいた為、この実験に関して興味を持った。
(この『ワルド』という人物。多分、ワルド子爵の事だろう。子爵の縁者かな?)
カルテを閉じ、目を瞑る。
(ともかくヴァリエール公爵に、この件について聞いてみよう……)
再びあくびを噛み殺しながら、カルテを棚に収めるとノックが聞こえた。
「ん……はい、どうぞ」
入室を許可すると、エレオノールが入ってきた。
「殿下、少しお時間をいただいてよろしいでしょうか」
「ミス・エレオノール。かまいませんよ。どうぞ」
マクシミリアンはエレオノールを日当たりの良いテーブルへと誘った。
「お疲れのところに尋ねてきてしまって、申し訳ございません」
「まぁ、気になさらずに。それでいったい何のようでしょう?」
「はい、それは……その……」
「?」
口ごもるエレオノールにマクシミリアンは不思議そうにしながらも、エレオノールが口を開くまで待ち続けた。
双方黙ったまま、五分くらいが過ぎた頃、ノックの後にカートを押したセバスチャンとヴァリエール家のメイドたちが入室してきた。
「ああ、セバスチャン、ミス・エレオノールにも何か飲み物を」
「ウィ、殿下」
メイドたちはカートに乗ったクックベリーパイを切り分けテーブルの二人に配った。
「ああ、ありがとう」
「……」
セバスチャンは紅茶を二人分淹れ、一礼するとメイドたちと供に退室した。
マクシミリアンは紅茶を一口すすると、濃い目の味で眠気が吹き飛んだ。
(……それにしても昨日、ルイズ相手に凄い剣幕で怒鳴っていたのが嘘のようだ)
テーブルの向かい側にいるエレオノールの少し物憂げな表情と、昨日の目の釣り上がったエレオノールとを脳内で比べていると。ついにエレオノールが口を開いた。
「殿下、カトレアとの婚約解消の期限はご存知でしょうか?」
「はい、知ってます。僕が12歳になったら……でしょ?」
「……そ
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