第十話 エレオノールの訪問
[2/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
祖ブリミルの血で遊ぶ事よりは、我々など可愛いものです』と、言ってやればいいのです連中、きっと黙りますよ。逆切れするかもしれませんがね」
マクシミリアンはロマリア僧侶への嫌悪感を隠さずに言い切った。
ちなみにワイン風呂の事は密偵頭のクーペから送られた情報だ。ちなみにワイン風呂の坊主は、急性アルコール中毒でぶっ倒れたそうな。
「そういう訳で、採血の件は大丈夫です。万が一、異端審問にかけようと言うのなら、カトレアは僕が責任を持って守りきって見せますよ」
そう宣言すると、夫妻はお互いの顔を見合わせながら『お願いします』と、頭を下げ。カトレアはというと顔を真っ赤にして身体をモジモジさせながら、目を潤ませていた。
「マクシミリアンさま……」
彼女はもう恋する乙女そのままの姿だった。
「と、まあ……そういう訳で次は聴診です。カトレア、胸をはだけて」
「え? 胸を……ですか?」
「そうだよ、そうしないと聴診できないからね」
「え、と、はい、分かりました」
恋の赤から羞恥の赤へ、カトレアの顔は急転直下の変化を見せた。
(……? ……ん? ……あ)
事ここに至って、ようやくマクシミリアンも今の状況を理解した。
(……リアルお医者さんごっこ)
……いろいろ台無しだった。
☆ ☆ ☆
午後、マクシミリアンは自室にてカトレアの検診で採取した血液などを検査していた。
机の上に水の張ったボウルを置く。
ボウルの水面を杖で叩き、次に血液の入った小瓶を軽く叩くと、ボウルの水面に赤血球や白血球などが顕微鏡写真のように写った。
(……各種白血球は正常。赤血球、血小板ともに正常。その他……異常なし。)
一息つこうと杖を振るうと、ボウルの水面に写った写真が消え、透明な水面に戻った。
「うーん」
マクシミリアンはペチペチとタクト形の杖で頭を叩きながら唸った。
「何処が悪いのかさっぱり分からない」
杖を机の上において、ため息をついた。
(そもそも、精霊の涙で治らなかった病気だ、ちょっと血液を見た程度で分かるとは思っていなかったが)
他にもトライアングルスペルで出来る限りを手を尽くしたが病気の原因は分からなかった。
その後も他の治療法について、いろいろ考えていると、徐々に眠気が襲ってきた。
「あふ……」
あくびを噛み殺し、もう一度、読み直そうとカルテを取った。
夜遅くまでカルテを見ていたため、マクシミリアンは寝不足だった。
「殿下、お疲れのご様子でしたら、床を用意させますが」
「いや、そこまで眠くな
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ