暁 〜小説投稿サイト〜
彼に似た星空
19.プロローグがはじまる
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す」
「なるほどぉ。じゃあ名刺渡しとこうかな…」

 そういうとサラリーマンはスーツの胸ポケットに自身の手を突っ込み、中をゴソゴソとまさぐっていた。気がつくとおばあちゃんと鈴谷もこっちに来ていた。

「あ! この前霧島さんといい感じだった人だ! ちーっす!!」
「こ、こら鈴谷……あ、気、気になさらないで下さいね? ホホホ……」
「あ、あはははは……こ、これおれの連絡先です。よかったら」

 サラリーマンは苦笑いを浮かべながら、胸ポケットから出した名刺入れから一枚の名刺を取り出し、それを霧島に渡した。具体的な会社名は、私からはよく見えない。

「よろしいんですか?」
「よろしいも何も、こん兄ちゃん、昨日の昼もここにおったっちゃが」
「ブッ」
「え……」
「多分、霧島ちゃんに名刺を渡したかったっちゃろ」
「あ、いやあの…そういうことを言うのは……」
「なーん言っちょるかいまさら…昨日私に“あの子たち今日は来ませんかねぇ?”とか聞いちょったがね」

 突然のおばあちゃんの暴露である。この衝撃の事実を聞いた時、私と鈴谷はブフッと吹き出し、霧島とサラリーマンは赤面していた。

「おやおやぁあ? 霧島さんその反応は? デュフフフ……」
「霧島もまんざらでもなさそうデース。グヒヒヒヒヒ……」
「な、何を言ってるんですかお姉様! 鈴谷も私をからかわないでッ!!」

 霧島からの痛恨の張り手が鈴谷のケツに炸裂した。鈴谷にとって現在ウィークポイントといえるケツへの強烈な一撃は、鈴谷を悶絶させるには充分すぎる威力だ。鈴谷は自身のケツを抑えてその場にうずくまった。

「霧島さん……マジ痛い……」
「鈴谷ちゃん、余計なことは言わんとよ?」

 私は、鈴谷の頭を撫でているおばあちゃんに対して『それはあなたの方デス』と言うセリフが喉まで出かかった。この衝動を耐えきったことを、世界はもう少し賞賛してもよいと私は思う。

「え、えーと…霧島さん」
「は、はいッ?! なんでしょうかッ?!」
「ま、まぁよかったらあっちでも連絡くれるとうれしいんだけど…」
「は、はいッ…喜んで……」

 どうやら、霧島もいい出会いが出来たようだ。今後二人がどうなるかはわからないが、鈴谷と同じく、いい友人を得たことは確かなようだ。

 バスの中で、鈴谷はお漬物が入ったお弁当箱の包を開いた。中にはお漬物が入ったお弁当箱と、一通の封筒が入っていた。封筒の中には、おばあちゃんの住所が書かれた紙が一枚出てきた。

「それ、おばあちゃんの住所デスカ?」
「そうだよ〜。鈴谷ね、おばあちゃんと文通するって約束してたんだ。おばあちゃん携
帯は持ってるけどスマホじゃなくてLineもやってないし、これが一番確実っしょ!」

 鈴谷は満面の笑みでそ
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