19.プロローグがはじまる
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バスセンターに到着した。タクシーのおっちゃんは最終的には許してくれたが、鈴谷に向ける眼差しは明らかに不快がこもっていた。来年も鈴谷はここに来るつもりでいるようだが、はたして来年鈴谷は無事にここから戻ることは出来るのだろうか?
相変わらずバスセンターは人が少ない。鈴谷と仲良くなったおばあちゃんと、霧島を手助けしてくれたサラリーマンがいた。
「あ、あの時の!」
「? ぉおお、あの時の。霧島さんでしたよね」
「そうです! 覚えていていただけて光栄です!」
霧島はサラリーマンの元にかけていった。その一方で、鈴谷のもとにはおばあちゃんが来た。その手には、お弁当箱が握られている。
「鈴谷ちゃーん! 今日帰るとね〜?」
「おばあちゃん! そうだよー! 鈴谷達、今日帰るんだー」
「寂しくなるが〜……ぐすっ」
「おばあちゃん、泣かないで……なんか鈴谷まで泣けてくる……ぐすっ」
おばあちゃんと鈴谷はお互いに手を握りしめて泣いていた。一昨日会ったばかりの人とここまで仲良くなれたのも、鈴谷の人懐っこさの成せる技だ。
そういえば、お漬物のお礼を言ってなかったことを私は思い出した。
「昨日は美味しいお漬物をありがとうございマシタ! 昨晩焼酎と一緒に堪能しマシタ!」
「あらホントね! 金剛ちゃんにも気に入ってもらえておばあちゃんうれしかね〜」
「おばあちゃん!! あのお漬物、ホントに美味しかったよ!」
「今日も持ってきちょるよ? おみやげに持って帰らんね?」
「ホントに? やった!! おばあちゃんマジで大好き!!」
「おばあちゃんも鈴谷ちゃんみたいな孫娘が欲しかね〜……ぐすっ」
「ちょっ……おばあちゃんマジで泣かないで……ぐすっ」
鈴谷はおばあちゃんからお弁当箱を受け取った。昨日のお漬物のタッパーよりもさらに大きなものだ。あの絶品のお漬物がまた今晩堪能できることに喜んだが……
「おばあちゃーん……鈴谷のこと忘れちゃヤだよ? また来年来るからね?」
「なん言いよるとや。おばあちゃんが忘れることなんてなかが!」」
鈴谷はおばあちゃんからもらったお漬物を胸に抱き、おばあちゃんから頭を撫でられながらポロポロと泣いていた。鈴谷の頭をなでるおばあちゃんの目にも涙がたまっていた。どうやら鈴谷は、この旅でいい友人が出来たようだ。
「お姉様!」
一方の霧島はサラリーマンとずっと話をしていたようだ。
「この前私を助けてくださった方なんですけど、どうやら東京の方のようです」
「oh……そうなんデスカ?」
「ええ。ちょっと出向でここに来てまして」
「てことは、ワタシたちとまた会う機会があるかもしれませんネー!」
「へぇえ? んじゃみなさんも関東?」
「そうですよ。東京のすぐそばで
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