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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第十五話 カイザーリング艦隊(その1)
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、結果を待った。
クリストファー・フォン・バーゼル少将が逮捕されたのは3日後だった。予定通り補給部隊もろとも逮捕された。
「提督、バーゼル少将を憲兵から取り返すべきです。一方的に少将を逮捕するなど横暴です」
「参謀長のおっしゃるとおりです。憲兵は横暴すぎます。我々はイゼルローン回廊の哨戒任務に就かなければなりません。サイオキシン麻薬は憲兵に渡しましょう、しかしバーゼル少将には艦に戻っていただかなくてはなりません」
「准将の言うとおりです。バーゼル少将を見捨てる事は出来ません」
喋っているのは、参謀長のリヒャルト・パーペン少将、副参謀長のルドルフ・ベッケナー准将だ。カイザーリング艦隊旗艦アーケンの艦橋では提督席に座ったカイザーリング中将を取り囲むように司令部幕僚が詰め掛けている。彼らは口々に憲兵の横暴を訴えバーゼルを取り返すべきだと訴えているのだ。俺も司令部幕僚の一人としてその中にいるが釈放なんてありえないと思っている。ただカイザーリングがどう判断するかを見極めなければならない。
「うむ、卿らの言う事はもっともだ。サイオキシン麻薬は憲兵に渡すがバーゼル少将には「お待ちください。」・・・大尉?」
「小官はバーゼル少将の釈放は要求すべきではない、と考えます」
周囲から、「何を言う」、「口を出すな」等の叱責が飛ぶが俺は気にせず続けた。
「これを御覧ください」
俺はポケットから取り出した3枚の写真をカイザーリングに渡した。
「なんだね、これは」
一枚には若い男女と幼い少女が写っている。あとの2枚にはそれぞれ男女が一人ずつ写っている。
「この星に有るサイオキシン麻薬治療センターに拘禁されている患者の写真です」
「なんだと!」
「その親子三人で写っている写真ですが、それはサイオキシン麻薬に汚染される前の写真です。そして残りの2枚はサイオキシン麻薬に汚染された後の写真です。お解りにはならないかも知れませんが、親子三人で写っている写真の5年後の姿がその2枚の写真です」
「馬鹿な、そんな事が、顔だって違う……」
「よく見れば同一人物だとわかるはずです」
「……何故こんな事に。子供はどうした」
「殺されました。父親に」
なぜそうなったか?。きっかけは男が軍でサイオキシン麻薬を覚えた事が始まりだった。死の恐怖から逃れるために使ったらしい。本人もサイオキシン麻薬の恐怖はわかっている、一時的な利用のつもりだったろう。しかし結局はサイオキシン麻薬に溺れ、軍を退役した、いや放逐された。男は家に戻ってからもサイオキシン麻薬を使い続け、そして悲劇が起きた。サイオキシン麻薬の使用を止めようとした娘を禁断症状に落ちた男が殺したのだった。男はすぐさまサイオキシン麻薬治療センターに送られた。
「母親はどうしたのかね
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