第一部
第二章 〜幽州戦記〜
八 〜人、それぞれの想い〜
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ジッと、私を見つめる董卓。
口先だけではない、これが彼女の本心なのだろう。
「そう、見えますかな?」
「見えます。そうでなければ、あのような秀でた皆さんが、あんなに貴方様を慕う訳がないでしょう?」
か弱げな見た目に騙されると、手痛い目に遭いそうな相手だ。
芯はしっかりしているし、他人を見る目もある。
……なるほど、張遼や華雄程の将が付き従うだけの事はある、か。
「董卓殿。ご無礼の段、平にお許し願いたい」
「いえ。仮の話でしょう? でしたら、何の問題もないですよ」
「いや、貴殿のような、心根清らかな方を疑ってかかるような物言い、無粋でした」
「心根清らかですか……。へ、へう……」
董卓は、真っ赤になった顔を両手で挟み、俯いた。
……むう、何だ、この保護欲をかき立てられる仕草は。
「申し上げます!」
そこに、董卓軍の伝令がやって来た。
同席している私に気付いたのであろう、何やら戸惑っているようだ。
「私は席を外した方が良さそうですな」
「いえ、構いません。共に戦う仲間ですから、隠し事をするつもりはありません」
「で、では。并州刺史、丁原様がお見えです」
「丁原のおじ様が?」
「はっ。援軍に、との事です」
丁原か。
だが、并州の刺史……?
荊州刺史、と書物にあったが、あれは誤りなのだろうか?
そして、この董卓とは対立する筈だが……この親しげな様子からして、まるで想像もつかぬな。
「わかりました。こちらに通して下さい」
「ははっ!」
伝令が、立ち去っていく。
「宜しいのですか? 私がいては、障りがありましょう」
「いいえ。土方さんならば、是非紹介したいのです。きっと、丁原のおじ様も気に入ると思います」
「……では、ご同席致そう」
ややあって。
「おお、月。久しぶりじゃの」
「丁原のおじ様!」
姿を見せた丁原は、男であった。
しかも、白髭も豊かな偉丈夫。
どうやら、名のある将全てが女子、という訳ではないという事か。
まだ見ぬ武将がどのような出で立ちか、逆に興味深いというものだ。
……そして、丁原と言えば、あの武将がいる筈。
「おじ様。恋さんは?」
「おお、恋なら今参る。……ほれ」
背の高い女子が、現れた。
燃えるような赤い髪に、至るところに見られる入れ墨。
……だが、その闘気たるや、尋常ではない。
手にした方天画戟といい……まず、間違いないだろう。
「恋さん。お元気でしたか?」
「……ん。月も、元気そう」
そして、丁原と二人、私を見た。
「月、この者は?」
「あ、はい。義勇軍の指揮官、土方さんです」
「義勇軍?」
「拙
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