第一部
第二章 〜幽州戦記〜
八 〜人、それぞれの想い〜
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「せっ、はっ!」
「そこ、手を抜くんじゃない! もっと真剣にやれ!」
「は、はいっ!」
「なんや……ウチ、おらんでもええんちゃうか?」
「いや、それはないが……。しかし、張り切っているな」
翌朝。
董卓殿の承諾をいただいて、選り分けの為の調練を始めた。
無論、皆に任せっきりではない。
「張遼殿。このような場合、如何に兵を動かせば宜しいのでしょう?」
「張遼、でええで。関羽?」
「で、では張遼。それでだが」
愛紗は、熱心に張遼を質問責めにしている。
「張飛! 兵が遊んでいるではないか! 目を届かせろ!」
「にゃー、華雄が鬼になっているのだ」
「ふむ。だが理にかなっているぞ、鈴々。やはり我らが調練では、見直すべきところが多々あるな」
そう。
人一倍張り切っているのは、あの華雄。
昨夜鈴々に無様に敗れた後で、何やら思うところがあったらしい。
自ら、調練の指導役を買って出てくれた。
確かに華雄は武を恃みにするところはあるが、決して実力がない訳ではない。
正規軍としての場数を踏んでいるのは、やはり伊達ではないのだろう。
鈴々はもちろん、愛紗と星にも初めて見て聞くものが多いようだ。
「それで賈駆殿。ここはこれで如何です?」
「そうね。悪くないけど、ちょっと型にはまり過ぎかもね」
「ではでは、こうしてはどうでしょう?」
「それ、これで無意味になるわよ?」
一方、軍師達も遊んでいる訳ではなく。
いつの間にやら、戦術や戦略の勉強会を始めている。
稟も風も、才は十二分にある。
だが、やはり実地となるとまだまだ未熟さが否めない。
その点、賈駆は董卓殿を補佐する立場。
廷臣達との折衝も行っているらしい。
私の知る歴史でも、一時はその曹操を危機に陥れた程の智謀の持ち主だ。
それ自体は、どうやら変わらぬものらしい。
「土方さん。お茶を淹れましたので、どうぞ」
「忝ない」
私は……どちらかに参加したいところなのだが、
「主。これは我らの役目ですぞ?」
「そうです。主が前線に出るまでもないようにするのが、我ら臣下の役目」
「だから、お兄ちゃんはでーんと構えていればいいのだ」
調練の方は、この有様。
「歳三様。お気持ちはわかりますが、軍師の仕事はお任せ下さい」
「そうですよー。お兄さんを助けられなくては、風達の居場所がなくなるのですよ」
……こんな感じで、弾き出されてしまった。
「皆さん、張り切っておられますね」
「然様ですな。拙者の出番もないようにござる」
「ふふ。でも、人は一人で全てを行えはしませんから」
私は頷き、茶を啜った。
「……む、美味い」
「ふふ、良かったです。土方さんの国
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