転換
湖の導灯
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水晶の様な材質の壁、古代機械の奥から更に意識の無い身体が運ばれて来た。
銀色の髪の若い女性、憔悴し切った痩身の青年。
侍女の装束を纏い、毛に覆われた異種の小柄な身体。
魔道師全員に緊張が走り、結界が震える。
ヴァレリウスは神聖パロ王妃と侍女、カラヴィア公子を無視。
ヨナの思慮深い澄んだ瞳の開いた瞬間、心話を投射。
(内部で何があったか、思い出せるか!?)
涼しい瞳が瞬くと同時に《気》が高まり、冷静な思考が返って来た。
(古代機械から、ナリス様の診断結果が伝達されました。
身体機能の回復に問題はありませんが、最低3日程は必要と見込まれます。
運動神経の再生に付随する苦痛を和らげる為、ナリス様は深層睡眠に入られました。
万一にも竜王の魔手が及ばぬ様に夢の回廊、ヒプノスの術も遮断する独自の結界を展開中。
無意識の状態を保ち細胞の賦活化、治療の促進に最適の環境が整っています。
リンダ様、アドレアン公子、スニは異常ありません。
通常の睡眠状態ですから一定の時間が経過の後、自然に目覚めます。
グイン王は既に転送され、古代機械より立ち去りましたが転送先は不明です。
問い質してみましたが『マスター以外の者に、答える義務は無い』と拒絶されました。
『入室許可も必要最低限に限る』と通告されましたが、情報は提供されています。
以前に竜王が探査を試みた際の威力偵察、念波の計測に拠り推定される総量は前例がありません。
古代機械の許容量《キャパシティ》を凌駕する為、防御結界《バリヤー》の維持は不可能です。
レムス王の容貌で強引に侵入を図った際は、一時的に仮死状態へ移行し突破を免れた様ですが。
治療中に同様の事態が生じた場合の阻止は不可能、ナリス様への影響は予測出来ません。
或いは生命活動の停止も起こり得る、と主張しています)
ヨナの冷静な思考を読み取り、ヴァレリウスが心話で中継。
魔道師全員が事の重大さを改めて認識、共通の理解が拡がり《気》と《念》が揺らめいた。
(ナリス様の警護は総てに優先する、なんとしても竜王の魔手を阻まなければならん!
下級魔道師50名を割き各5名の班10個を編成、5人一組で星型の魔法陣を組む。
常時10名が結界を張り、二重に魔法陣を重複させる。
15タルザン毎に各5名を交代させ睡眠、待機を繰り返し集中力を保つ。
俺を含め上級魔道師5名も結界を張り、キタイ勢力の接近を阻む。
ヨナ、ロルカ、ディラン。
済まないが、総て任せる。
ケイロニア軍、ゴーラ軍への対応も含め宜しく頼む)
ヴァレリウスの指示を受け、数人の魔道師が慌ただしく閉じた空間を創造。
ヴァラキア出身の若き賢者は澄んだ瞳に剛い光を宿らせ、同志の手を握
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