Chapter 4. 『堕ちてゆくのはぼくらか空か』
Episode 26. The Cross of the Indra
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間すら捉えられなかった。
掻き消えるような速度で移動した、とか、そういうレベルじゃない。瞬間移動に等しい、知る限り最速、そして一護しか持たない、異質な移動スキル。
エクストラスキル『縮地』だ。
効果は至極単純にしてこれまた異常。『プレイヤーの視認できる最大の速度まで、移送速度を瞬間的に向上させる』というもの。つまり、プレイヤーの動体視力の上限によって出力が変化するということだ。
――つまり、これが、彼の生きる「最速」の世界だということ。
「ぉぉぉぉおおおおおおおおぉッ!!」
「ぐっ!? な、なんだコイツ!」
「追いきれねえどころじゃねえ! 姿さえも見えねえぞ!!」
「く、くそっ、とにかく奴の動きと止めちまえガフッ!?」
咆哮と共に『縮地』による瞬間加速を連発する一護。残像が明確に残る速さで飛び回り、斬撃が縦横無尽に飛び交い、ラフコフの連中を文字通り瞬く間に叩きのめしていく。もはや本物の死神、というよりは鬼神のような隔絶した超速戦闘に、私や他の攻略組は、半ば放心状態で見蕩れていた。
圧倒的だった。完膚なきまでに。
「貴様、図に乗るなよ!!」
何度目かの斬撃で、やっと一護の神速が停止した。いつのまにか姿を消していたPoHが、その肉厚の包丁で一護の刀を受け止めていたのだ。
「……何言ってんだよ、今まで散々図に乗ってきたのはテメエらじゃねえか。レッドプレイヤーとか名乗って、罪もねえ連中を殺しやがって……ナメてんのも大概にしろよ!!」
鍔迫り合いしていた刀を閃かせ、PoHの包丁を弾く。直後、『縮地』で背後に出現し、強烈な蹴りを後頭部に叩き込んだ。さらに刀を振りかぶり、ほぼ零距離で《残月》を発現。青白い閃光がPoHを飲み込み、そのHPを一気に削り取った。
「Suck!!」
罵倒のスラングを吐いた犯罪者の頭領は宙返りしつつ着地。
それを余所に一護は再度縮地を発動し、背後を突こうと忍び寄っていたザザの左腕を斬り飛ばした。さらに『縮地』を連続発動し、黒い竜巻のようにザザの周囲を旋回した。ドドドドドッという地を踏む音が鳴り響く度に斬撃が振るわれ、満タンだったエストック使いのHPが急減少していく。
と、次の瞬間、薄闇から再度鎖が射出された。一護はすぐに反応し、鎖を払いつつ『縮地』で回避しようとする。しかし左の手足に鎖が絡み、動きが封じられていた。
どうやら平素のクセで鎖を手足で弾こうとしたらしかった。この鎖が犯罪者捕獲用だというのなら、おそらく攻撃であっても武器以外で触れれば確実に拘束される。そのことを伝え忘れていた自分を呪った直後、
「こんなモン、どうしたってンだよ!!」
目を疑った。
一護は刀を振り上げ、そのまま一切躊躇するこ
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