Chapter 4. 『堕ちてゆくのはぼくらか空か』
Episode 26. The Cross of the Indra
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り、どこかに隠れていたらしい。
そして、その前に立つのは、歪な形状の肉切包丁をひっさげた、長身のプレイヤー。目立つ特徴はないものの、その纏った空気のせいで、誰なのかは一瞬で分かった。
『笑う棺桶』リーダー、PoH。
奴がいること自体には問題はない。HPがろくに減っていないのも、隠れ潜んでいたと考えれば納得できる。だが、おそらくこの状況を作り出した奴が、一体何をしたのかは検討も付かなかった。唯一動く右手で短剣を握り締めながら、その一挙一動に最大限の警戒心を向ける。
「しかし、随分とあっさり片付いちまったな。まだ五体満足で動けてる奴なんざ、十人といねえだろう」
「向こうで、死神代行が、暴れ回ってる。オレも、行って、加勢する」
「好きにしろ」
ザザはシュウッと呼気を漏らすと、どうも全ての鎖を叩き落としたらしい一護へ襲いかかっていった。既に五人に囲まれていた彼は即座に反応し、エストックによる刺突を捌きながら背後からの斬撃を蹴りで弾く。今の所は大丈夫そうだけど、他の攻略組がやられてしまったら、流石の一護でも危ない。何とかして、この鎖から抜け出さないと。
短剣を逆手に持ち、三本まとめて切断しようと渾身の力を込めていると、横から飛んできた蹴りで弾きとばされてしまった。同時に、嘲るような声が聞こえる。
「無駄だぜ『闘匠』さん。あんたの剣でも、こいつは斬れねえ。なんせ、犯罪者捕獲用の特別仕様だからな」
PoHが私の方に近寄ってきていた。口元に薄い笑みが浮かんでいるのが見える。
「……犯罪者を捕えるアイテムで、私たちを捕縛したっていうの? 有りえない。対オレンジ専用の捕獲アイテムがグリーンプレイヤーには影響しないはず」
「確かにな。だが、そこをくぐり抜けるのが腕の見せ所ってやつ――」
「おいっ、PoH!! この罠、まさかお前!!」
私たちの会話に割り込むかのように、叫ぶような声が響いた。
見ると、左手と右足を貫かれたキリトが、地に伏しながらPoHを睨んでいた。その傍らには、息絶える寸前のラフコフの構成員。右手一本で、どうにか殺しきったらしい。
「よおキリト、貴様に合うのは二か月ぶりぐらいか? って、ンなことぁどうでもいいか。
ああそうだ。いつだったか、貴様のギルドを全滅させたときのテクがこれだ。貴様があの場所にいたら手こずってただろうが、あの時はいなかった。おかげでスムーズに殺せたっけな」
「てめえ……許さない、貴様だけは、絶対に許さない!!」
激昂して鎖を引きちぎろうともがくキリト。それを横目に、PoHは歪な微笑を保ったまま、包丁を構えた。
「さて、あいつは最後に消すとして、まずは貴様から取り掛かるとするか。いい声で鳴いて
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