Chapter 4. 『堕ちてゆくのはぼくらか空か』
Episode 26. The Cross of the Indra
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一秒ほどのタイムラグを経て、アスナと私がほぼ同時に再起動した。アスナはレイピアを掲げて指示を飛ばし、私は短い呼気と共に疾駆して敵の一人へと飛びかかる。繰り出した短剣を片手剣で受け止められたけど、素早く切り返して弾き飛ばし、さらに短剣を振りかぶって全力刺突。そのまま大きく踏み込んで強引に突き飛ばした。
「ひっはァ!! やるねえシニガミの旦那!! 《忍び足》からの完全不意打ちだったんだけどなあ!!」
「うるっせえな頭陀袋野郎!! 殺気全開であんなモン投げられて、気づかねえわけが、ねえだろッ!!」
どうやらさっきのナイフはジョニー・ブラックによるものだったらしい。一護と斬り結びながら、場違いに陽気な笑い声を響かせている。周囲をざっと見渡すと、各所で似たような戦闘が勃発していた。
まだアジトには程遠いのに、斥候にしては数が多すぎる。少なくとも、二十人はいるように見える。距離にして数百メートルある距離でさっきのバカ騒ぎが聞こえて駆けつけた、とも思えない。
ということは、結論はただ一つ。
奴らから密告者が出たのと同様に、なんらかの経路でこちらからも情報が洩れ、奇襲されたのだ。
迂闊だった。
私たちがいずれ連中を討ちに来ることくらい、予想は付いて当たり前なのだ。アジトに籠っているだろうと勝手に決めつけ、他の可能性を排除したこちらの落ち度だ。何たる失態か。
けれど、
「汚ねえ不意打ちが決まったぐれえで、調子に乗ってんじゃねえよ!!」
「ぐおっ!?」
こっちが有利なのには変わりはない。
ジョニー・ブラックを力任せに弾き飛ばし、一護が怒涛のラッシュを仕掛けていく。それを皮切りに、動揺していた他の人たちも徐々に落ち着きを取り戻し、攻勢を強めていった。麻痺毒短剣で動きを封じた殺人者たちを捕縛用の太いロープで拘束しながら、私は戦況を見極めていく。
奇襲直後はかなり押されはしたけれど、体勢の立て直しには成功した。
撤退する構成員を追う者、投降した者をふん縛る人たち、残りの面子を取り囲んで追い詰めていく集団など、こちらが明らかな優勢を確保できている……はずだった。
しかし、まだ見込みが甘かった。
狂騒状態に陥ったラフコフの連中が端々で滅茶苦茶に暴れ始め、しかもそれを止め切れていないところがあるのだ。相手をする攻略組の者たちの顔は引きつり、青ざめ、中には蹲って頭を抱えてしまう者もいる。相手が犯罪者であっても、PKに対する覚悟が極め切れていないようだった。早く、私もこいつらを捕縛して戦線に加勢しないと。下手をすると攻略組側にも犠牲者が出てしまう。
少なくない焦燥を感じる私だったけど、安心できる要素が一つだけあった
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