暁 〜小説投稿サイト〜
SAO−銀ノ月−
第九十五話
[7/11]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
店に大きな声が響きわたった。

「みんなー!」

「ノリ? どうし――」

 スリーピング・ナイツのメンバー、スプリガンのノリの声だ。何か緊急の連絡かと、ジュンは声をする方法を見ると、そこにいるのはノリだけではなく。

「わぁ……」

 ウンディーネのシウネーもいた。同じギルドのメンバーである彼女が、ノリと同じ場所にいても何らおかしいところはないのだが。問題はリーファが思わず感嘆するような、その格好にあった。

「綺麗だね」

「でしょー? シウネーったらいいアバターなのに、先に装備だーって全然オシャレしないもんだからねぇ」

 ――ジュンがつけていたキリト変装用のカツラの出所である、リズが何となく集めていたパーティーグッズ。そこから猫耳とかメイド服とか、そんなコスプレのようなものをコーディネートして、シウネーはそこに立たされていた。雄弁に語るノリとは対照的に、顔を伏せてその青いロングヘアで隠し、まったく一言も発することはなかった。

「………………」

「これは……リーファ! リーファ! 負けてられないわよ!」

「何でこっちに振るの!?」

 そのコスプレパーティーグッズの持ち主は、こうしてはいられないとばかりにカチンコを投げ捨てると、嫌な予感を感じて逃げようとしていたリーファを即座に捕まえる。

「ほら、ルクスも! 行くわよ!」

「えっ、私もか――」

 ルクスの言葉が最後まで言われることはなく、店主によって乱暴に部屋の扉が閉められる。残されたのは奇しくもスリーピング・ナイツのメンバーであり、ジュンは困ったような顔でノリを見た。

「オレもう帰っても」

「え? アンタ審査員でしょ?」

 どうやら男優役の次の就職先は、既に知らぬ間に内定されていたらしい。いつの間にか決定していた審査員として、いつの間にか作られていた審査員席に座り込み……ジュンは、残りのメンバーがいるであろう部屋の方、羨ましげに見つめていた。

「向こうはピンク色の声が聞こえるなオイ」

 ――対する、その他のメンバーが集まっている部屋においては。奇しくも同じサラマンダーであるクラインが、似たような面もちでそちらを見つめていた。

「シウネーさんとお近づきになれるかと思ったのによ、何だこの仕打ちって」

「……文句あるなら向こう行け」

 《リズベット武具店》の工房。普段は店主とその助手が、命を削って武具を作り上げているそこに、残りのメンバー――ショウキ、クライン、テッチ、タルケンが集まっていた。向こうに比べて圧倒的な男女比に、クラインが数秒に一回のペースでボヤいており。さっきまでリーファがいたのだが、そのリーファも一回聞こえた悲鳴から帰ってくる気配がない。

「そもそもこれ、意
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ