第九十五話
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見ない理由だからであるが。
「そうね。テイムスキルも上げてないし……今のところは無いわね」
「でも、せっかくケットシーになったんだし、もったいなくない?」
もちろん各人のプレイスタイルは自由ではあるが。その種族の唯一無二の特徴をまるっきり無視するのは、アスナも流石に他人事ながらもったいない気がしてならず。シノン本人もそう思うところも無いわけではないのか、ハーブティーを置いて少し考え込む動作をする。
「でも私、ペットとか飼ったことないし」
「ケットシー全員がペット飼ってる訳じゃないと思うけど……」
「リアルじゃ出来ないことをやるのも、ゲームの醍醐味なんじゃないか?」
そこの竜使いは現実でも飼ってるけどな――というのは話がこじれそうなので胸の奥に秘めながら、キリトは代わりにそんなことをシノンに勧める。あのヨツンヘイムを自由に闊歩する友人――テイムしたとはまた違うが――であるトンキーを思い返しながら。
「ふーん……それじゃ、キリトが私の使い魔になってくれる?」
考え込む動作を止めたシノンが出した謎の結論に、キリトは脅えるようにピクリと身体を震わせる。ちょっと使い魔のようになった自分、というのを想像してしまったということもある。
「ドウイウコトデショウカ……」
「ほら、あんたモンスターに変身出来るじゃない。それをね」
それこそケットシーのテイムスキルのような、スプリガン特有の魔法である幻惑魔法。その中にある自身のステータスに応じたモンスターに変身する、という魔法が存在するのは確かであり。連携もへったくれもなくなる上に、基本的には対人戦で相手を驚かせるくらいしか使い道もない代物だが。
「冗談よ。何ちょっと本気で考えてるの」
「で、ですよねー……」
……そんな会話をしていた近く、ピナと遊んでいたユウキは、その言葉を聞いていた。言った本人は、特に深い意味もなく言った言葉なのだろうけど……ユウキにとっては、深く刻まれてしまう言葉でもあった。
「リアルじゃ出来ないことをやるのも、ゲームの醍醐味、か……」
先程キリトが何とはなしに発した言葉。こうしてピナのような小動物と触れ合うことも、彼女にとって現実では。
「ひゃっ!?」
少し視界を下げた瞬間、手の中にいたピナがユウキの頬を舐めた。突然の温かみに素っ頓狂な声を出してしまうと、他の三人の視線もこちらに集中する。
「……慰めてくれたの? ありがと」
「ああっ! ピナがごめんなさいユウキさん!」
誰にも気づかれないような小声でピナにお礼を言うと、高速で謝りにきた飼い主ことシリカに、『ううん! やっぱり可愛いね!』とお礼を言う。ピナもすっかり打ち解けたのか、ユウキの手の中から頭上へと
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