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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百七十九話 終結
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。溜息が出そうになって慌てて堪えた。

愚痴っていても仕方が無いな。
「フィッツシモンズ大佐、オーディンに連絡を。反乱軍の宇宙艦隊は降伏、メルカッツ副司令長官と合流後ハイネセン攻略に向かうと」
「はっ」
「参謀長、反乱軍のビュコック司令長官と会談をします。二十四時間後、総旗艦ロキへの訪艦を希望すると伝えてください。なお、所定の手続きに従って武装を解除して頂きたいと」
「はっ」

ヴァレリーとワルトハイムがオペレータにそれぞれ指示を出し始めた。二十四時間有ればミサイルの廃棄とレーザー発射口の閉塞が終了するだろう。一応念のため油断するなと全軍に通達した方が良いな。少し疲れたな、時間は有る、一眠りしようか……。



帝国暦 490年 4月 19日    帝国軍総旗艦ロキ  ドワイト・グリーンヒル



帝国軍総旗艦ロキの艦内は柔らかな明るい光に溢れていた。漆黒の外見からは想像も出来ない光景だ。艦内の彼方此方から私とビュコック司令長官に好奇の視線が向けられているのが分かった。囁き声も聞こえる。彼らの気持ちは分かるが見世物になった様な感じがして気分が悪かった。

降伏後、二十四時間が経った。この宙域には帝国軍の別働隊も集結し同盟軍は十五万隻を超える帝国軍に包囲されている。政府からの降伏命令には已むを得ないと思いつつも多少のわだかまりが有った。しかし今十五万隻を超える帝国軍に包囲されている事を考えれば政府の判断は正しかったのだと理解出来る。トリューニヒト議長の判断だと聞いたが見事な決断をしたものだ。

一人の士官が近付いて来た。まだ若い、年齢は二十代の半ばから後半だろう。軍服の模様から判断すると中将だ。中肉中背、聡明そうな表情をしている。一メートル程の距離で立ち止まり挙手の礼をほどこした。
「小官はクラウス・ワルトハイムと申します。同盟軍の宿将たるビュコック司令長官とグリーンヒル総参謀長にお会い出来て光栄です」

嫌味には聞こえなかった。性格は素直なのかもしれない。ビュコック司令長官と共に挙手の礼を返した。
「敗軍の将には些か過分な言葉ですな、恥じ入るばかりです」
ビュコック司令長官が答えるとワルトハイム中将が少し困った様な表情をした。侮辱してしまったとでも思ったのだろうか。

「ヴァレンシュタイン元帥の元へ御案内します、こちらへ」
「御手数をおかけする」
ワルトハイム中将の案内で艦内を歩く。暫くして一人の士官が待つ扉の前に着いた。見覚えが有る、ローゼンリッター、リューネブルク……。無言のまま敬礼を交わす。ワルトハイム中将がドアを開け“どうぞ”と言った。部屋の中に入った。

黒髪の若い士官が奥で待っていた。小柄で華奢な身体を黒いマントが覆っている。帝国軍宇宙艦隊司令長官ヴァレンシュタイン元帥。こちらに近づい
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