Vivid編
外伝〜if/ライのたどり着いた世界がCEであったなら(後編)〜
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る』」
ライは朗々と紡いでいく。プラントのラクス・クラインではなく、ミーア・キャンベルがプラントの人間のどう思われているのか。それがほんのひと握りの人間のものであったとしても、確かに存在する彼女への言葉を。
「『元来、それを支えていくべきなのは軍人である自分たちや政治家だ。それを有名だから、ラクスだからという言い訳をしていた自分たちを情けなく思う。だから、自身というものを偽ってまでプラントやコーディネイターを支えてくれた名前も分からない歌姫には感謝の言葉しかない。ありがとう』」
ライが言い終える前から、ミーアはその場に座り込み涙を流していた。
その涙が悲しみではなく、こみ上げるほどの安堵に溢れていればいいなとライは内心で願う。
「失礼します」
彼女に近付いたライは一言断りを入れると、彼女を抱き上げる。
そこで初めて、ライはミーアが安堵の表情を浮かべながら、静かに寝息を立てていることに気付く。
(それ程気が張っていたのか)
安っぽいと思いながらも、ライはミーアに同情の念を抱いた。
これで、彼女をシャトルに乗せ、プラントに帰投すれば任務は終わるのだが、そう簡単にいかないのは未だ銃を構えてこちらを警戒しているアスランともう一人の少年の存在でハッキリしていた。
「……このまま帰してくれる気はありますか?」
ダメもとで訪ねてみたライの質問には、予想外の返答が待っていた。
「ライ、君も俺たちと一緒に来て欲しい」
「………………………………………………………………………………は?」
その言葉にライは思考をフラットにして、間抜けな生返事を返すしかできなかった。
「君ならわかるだろう。議長やレイは自分たちにとって都合の悪い人間を排除しているだけだ。彼らは人を、個人を見ようとしていない」
アスランは熱のこもった言葉を発しているつもりなのだろうが、彼が喋れば喋るほどライの視線は冷たくなっていく。それにアスランは気付かなかった。
「一応尋ねるが、そう考えた切っ掛けはなんだ?」
「ミネルバがオーブから出て直ぐに本物のラクスがコーディネイターの特殊部隊に命を狙われている。新型のモビルスーツも用意してだ。こんな部隊を用意できるのは議長だけだろう」
ライは確信に満ちたアスランの表情と言葉にため息しか出てこなかった。
「……視野狭窄だな」
「なんだと?」
「まず、コーディネイターの特殊部隊をプラントのトップである議長が用意したとあたかもそれが当然のような事を言っているが、それは勝手な憶測だろう。コーディネイターのみの部隊など用意しようと思えば今の連合もジャンク屋連合もオーブですら用意できる」
「だが、新型のモビルスーツは――――」
「
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