Vivid編
外伝〜if/ライのたどり着いた世界がCEであったなら(後編)〜
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敏感だ。とはいえ、相手が海千山千の政治家相手であれば、その深いところまでは読み取れなかったのだろう。だから彼女は分からない事が怖くなる。
正体がバレたことにより、プラントにとって都合の悪くなった自分がどうなるのかが分からない。それは自身の命も危ないと考えてしまう理由としては十分であった。少なくとも彼女にとっては。
その結果、彼女はSOSを出したのだ。ラクスであった頃、偽りとは言え婚約者として接したアスラン・ザラに。
そして警戒のためとは言え、その頼った相手から銃口を向けられている彼女の精神は既に限界に近いということは、明らかであった。
「……不器用ですね」
「……申し訳ないです」
プラントのラクスに対して言った独り言を自分に言われたと勘違いしたのか、ライに懺悔するようにサラが謝っていた。
(本当に……不器用だ)
なんだか可笑しくて笑ってしまいそうになったが、そういうわけにもいかず、ライは手短にサラに指示を出す。
そして彼女を保護するために、ライは頭上に向けて一発の弾丸を放った。
「誰だ!」
誰何の声をあげたのはアスランであった。
刺激をしないようにゆっくりとライは岩陰から身を出すと、広場にいた彼らに相対する。
「ライ?!」
「久しぶり……というのもおかしいか……オーブでの戦闘以来ですね」
普段よりも堅苦しい敬語を使うのは威嚇のためだろうか?と内心で自嘲しながらも、それを表情に出すことはしなかった。
「アスラン……ライって」
「ああ、例の新型に乗っていたパイロットだ」
「あの方が」
何やら仲間内で品定めをしているようだが、ライは取り敢えず当初の目的を果たすために口を開く。
「ラクス――――いえ、ミーア・キャンベル。貴方を保護するために迎えに来ました」
「っ!」
彼女――――ミーアが驚いたのは自分を保護しに来たことだろうか。それとも、自身の本当の名前を知っていたことだろうか。
「信じ、られません……」
絞り出すようにして返してきた言葉は拒絶を意味した。
「オーブでの放送のあと――――」
「っ」
怯えるような、喉の引き攣るような音が聞こえたが、ライは喋ることをやめない。
「自分が乗っていた艦内のクルーたちは貴女に感謝と謝罪の念を抱いていました」
「――――え?」
心底理解できないと言うふうな表情を浮かべる代わりに、少しだけミーアの瞳に理性の色が戻った。
「『自分たちは確かにラクス・クラインのような、導いて癒してくれる存在を願っていた。だけど、それは誰かが生贄になるのを良しとしてまで求めたわけではない。そう言った必要があった程に世界はもちろんプラントが混乱の中にあった事は認め
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