17.私の罪
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鎮守府の指揮を担っていた彼が亡くなったことで、鎮守府は完全に機能を停止した。入渠施設がなくなったことで、傷ついた子たちの傷を癒やすことも出来ない。私たちはただひたすらに呆然とすることしか出来なかった。
本来ならこういう場合は、長く秘書艦を務めていた私が陣頭指揮を取らなければならないのだろうが、私は今、何もすることが出来なかった。代わりに今は、球磨が陣頭指揮を取っているようだった。
彼のことは、姉妹と鈴谷、青葉にも伝えた。比叡と霧島は絶句し、榛名と青葉は泣き崩れ、鈴谷は顔が青ざめ、呆然としていた。
「嘘です!! 提督が死んだなんて嘘です!! 榛名も提督に会わせて下さい!!」
「ノー……榛名…テートクとはもう会えまセン……」
「お姉様まで嘘をつかないで下さい!! 提督に会わせて!!」
先ほどの私とまったく同じ反応を榛名はしていた。彼女も彼を慕っていたから当然だ。今なら木曾の気持ちが分かる。榛名には、彼のあの惨状を見せたくなかった。
榛名は強引に私を突き飛ばして執務室の場所に行こうとしたが、私は木曾がしてくれたように、榛名を後ろから抱きしめ、力づくで静止した。
「嫌!! お姉様離して下さい!!」
「駄目ネ榛名!! 行っては駄目デス!!」
「離して下さい!! 離して!! 離してぇええ!!!」
榛名は猛烈な力で私を振り解こうとしたが、私も絶対に負けるつもりはなかった。榛名を拘束するその手にさらに力を込め、力で榛名をねじ伏せた。
「ノー! 駄目デス!」
「行かせて!! 提督の元に榛名を行かせて!!!」
「ノー!!」
「行かせて……お姉様……提督に……会わせて……」
「……ごめんなさい榛名」
「お願いですから……提督……提督……」
先ほどの私と同じように、榛名もまた、力尽き、膝から崩れ落ちた。私は、榛名が倒れてしまわないように体を支え、今度は榛名が壊れてしまわないよう、出来るだけ優しく抱きしめた。
「金剛お姉様……私も、私も提督をお慕いしていました……」
「知っていマス……」
「提督……なぜ……提督……」
榛名もまた、先ほどの私と同じように、私に身を委ねたまま哭いた。
「榛名は大丈夫クマ?」
榛名の様子を心配して球磨が来てくれた。私は、無言で首を横に振り、否定を示した。
「……この惨状では仕方ないクマ。……ちょっと話があるクマ。今大丈夫クマ?」
「今は駄目デス。榛名を放ってはおけまセン」
「確かにそうクマ……」
私達の様子を察してか、比叡も私たちの元にやってきた。霧島は大破判定を受けた上、提督の話を聞いて今では満身創痍で立つことすらままならない状況だ。それに比べると、比叡はまだ傷は軽傷といえた。もっとも、それでも中破判定に変わりはないが…
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