15.私たちのホーム
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霧島の背後につき、襲いかかる敵艦載機のすべてを三式弾で叩き落としていった。一方の霧島は殿となり、徹甲弾による牽制射撃を敵艦隊に浴びせ続けた。形こそ牽制だが、霧島の一撃は徹甲弾も相まって破壊力は破格だ。何度か敵艦への直撃と撃沈を確認した。
敵艦隊も負けじと攻撃を行ってくる。いくら私が敵艦載機を落としたといえども、すでに奪取された制空権はそう簡単に取り戻せない。敵戦艦の弾着観測による正確無比な射撃と、私の三式弾の猛攻を掻い潜った敵艦載機からの爆撃は、私と霧島に着実にダメージを与えていった。それでも私たちは、死にもの狂いで撤退しながら砲撃し、砲撃し、砲撃した。
敵艦隊との距離が開いて砲撃が届かなくなり、敵艦載機の影も見えなくなった頃、私は自分が中破レベルの傷を負っていることに気付いた。三式弾も底をつき、私はもはや満身創痍だった。
さらに状態が酷いのが霧島だった。霧島は艤装も装束もズタボロになっており、明らかに大破判定のダメージを負っている。砲塔も折れ、自慢のメガネにもヒビが入り、水面に立っているのがやっとのようだった。
「霧島?! 大丈夫デスカ?!」
「ハハ……お姉様…久々に力づくの戦闘をして、霧島はちょっとくたびれてしまいました……」
「肩を貸しマス! 捕まるネ!!」
「ありがとうございますお姉様……」
私は霧島に肩を貸し、出来るだけスピードを上げて限界域から離れた。しばらく走ったところで、たった一機残っていた鈴谷の瑞雲が私たちを見つけ、私たちは無事、再び合流することが出来た。どうやらこの海域の付近に小島があるらしく、榛名たち四人はそこで姿を隠しながら、私達が戻ってくるのを待っていたようだ。
「ところでお姉様……鎮守府に通信は出来ますか?」
満身創痍な上、大破判定の艦娘が二人いる状態だ。どうしても出せるスピードが限られてくる。その状態の中で索敵を鈴谷に任せ、出来るだけ早いスピードで鎮守府に帰還している最中の、比叡の一言だった。
「Shit……そういえば、全然通信してなかったネー……」
比叡に言われるまで、彼に通信を送ることをすっかり忘れていた辺りが、先の戦闘がいかにすさまじいものだったかを物語っていた。私は軽く舌打ちしたあと、彼に通信を送ろうとした。
しかし私の通信機が破損してしまったのか、返信が全く来ない。先の戦闘は激しいものだったし、私も艤装に何度かダメージを受けている。そのような状況では、通信機に問題が発生するのも仕方のないことだろう。
「ダメデース。繋がりませんネ……みんなはどうデスカー?」
私が肩を貸している霧島は、力なく首を横に降った。比叡と青葉も首を横に降った。
「榛名はどうデスカ?」
「ごめんなさいお姉様…榛名の通信機も壊れてしまったみたいで…」
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