暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン‐黒の幻影‐
第3章 黄昏のノクターン  2022/12
30話 無音の追跡者
[3/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
な隠密行動をとることが可能となるだろう。スナイパーを警戒するNPCさえ居なければ、高所は極めて優秀な潜伏場所になってくれるはずだ。もっとも、望んでも現れてはくれないだろうが。
 それにしても、大胆ながら隙のない発想には驚かされる。幼さ故の豊かな発想力には斯くも可能性を秘めているものなのか。柄にもなく感服させられる。


「………となれば、少しだけ早いけどコイツを試してみるか」
「え、ちょっと………リンさん、何してるんですか!?」


 メニューウインドウ上の一部始終を目の当たりにしたニオは驚きを露にした声をあげる。つられてクーネ達も慌ててこちらに視線を投げかけてくるが、これといって大袈裟な真似はしていないのだ。


「準備をするって、そんな簡単にスキルを変えちゃったら、今までの熟練度はリセットされるんですよ!?」
「いや、知ってる。だからこそだ」


 《索敵》スキルに上書きする形で、新たに《軽業(アクロバット)》スキルを習得する。俺が行った作業はこれだけ。
 だが、ニオの言い分にも確かに一理あるのだが、これはあくまで俺の価値観と優先順位の問題による部分が大きい。未だに100にも満たない熟練度の索敵スキルは、現状の隠しダンジョンにおいては然して有用性を見込めるものではないのだ。
 しかし、軽業スキルは動作に直接影響を及ぼすタイプのスキルである。この場の為だけに使うわけではなく、今後の戦闘やそれ以外の場面においても選択の幅を広げる手段になる。俺にとっては《現状に求められた準備》と《先行投資》が偶然一致しただけの事でしかない。索敵スキルは直近で解放されるスキルスロットに納めれば問題はない。行ってしまえば、実用性に欠けるスキルを処分する口実といったところか。


「それと………お、あったあった。ヒヨリ、コイツを俺に使ってくれ」
「うん、いいよ」


 アイテムストレージから取り出した青い結晶を六つだけヒヨリに手渡すと、すぐさまタップしてメニューを操作し、指先に《対象指定モード》を示す紫の光を灯すと俺の肩口をつつく。これで青い結晶――――未分化熟練度獲得アイテム《英知の記憶》の使用は完了。()()()()()ランダムで1から10までの熟練度を得られるという奇跡の結晶は、ベータ時代の惨憺たる結果とは裏腹に、獲得熟練度は59という超抜級の成果を齎す運びとなった。これにより、50の熟練度を軽業スキルに、残りの9の熟練度を片手剣スキルに割り振る。
 さらに、一挙に50もの熟練度を押し込まれた軽業スキルはMod獲得が可能であることをシステムアナウンスで忙しなく知らせる。もとよりそのつもりで待ち受けていた俺は《跳躍強化》を選択。これで準備は整っただろう。


「じゃあ、俺は少し出掛けくる。終
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ