暁 〜小説投稿サイト〜
Deathberry and Deathgame
Chapter 4. 『堕ちてゆくのはぼくらか空か』
Episode 25. Unavoidable Subjugation
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手数を活かし、立て続けに逆手突きを叩き込んでいく。肘を伸ばしきらず、スナップを利かせた高速小攻撃(ジャブ)の多段攻撃を、しかし一護は全て目で追い、片っ端から打ち落としてきた。けど流石に反撃は飛んでこない。多分、間合いが詰まり過ぎているせいだろう。

 この好機、逃すには惜しい。

 私は一気にケリを付けるべく、さらに肉薄する。同時に左手で手刀を作り、腰だめに構える。これで《エンブレイザー》を水月に突き込んで、勢いで押し倒す。

 模擬戦闘ではアバターが損傷しないため、この技の強烈な貫通力は、全てピンポイントの打撃力へと変換される。いくら一護でも、このラッシュからの零距離体術は防げない。

 無意識に浮かんだ薄い笑みを殺しつつ、私は勝利の一撃を放った。眩く光る貫手が彼の腹部目掛けて突き進み――突如、視界が暗転(ブラックアウト)した。

 衝撃が顎下から脳天までを突き抜け、立つことすらできない。繰り出した技は虚しく宙を掻き、私はそのまま地面に倒れ込んでしまった。

「お前、最後の技のチョイスをミスったな。わりーけど俺、手刀を見切るのは慣れっこなんだよ」

 そんな声と共に、空を映す視界の隅に、一護のしかめっ面が見えた。刀を担ぎ、眉間に皺を寄せたいつもの顔が私を見下ろしている。

「……最後の一撃、何したの?」
「柄で真下からぶん殴ったんだ。間合いが詰まってたから、フツーに振るわけにはいかねえだろ」
「ずるい」
「ドコがだよ。オメーが言えたことでもねえだろーが」

 見事に意表を突かれ、悔しさと清々しさが同居した複雑な気持ちがする。何となくふくれっ面をした私を見て呆れた顔になった一護に、刀の峰でコツンと額を叩かれた。

 ……次やるときは、先にHP減らしといて『死力』スキル解放してみようかな。
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