Chapter 4. 『堕ちてゆくのはぼくらか空か』
Episode 25. Unavoidable Subjugation
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っぱり戦闘状況下での空中移動はまだ難しい。攻撃時はともかく、相手からの攻撃に対処するときにどうしても足場の意識が抜けてしまう。その場で二、三度宙を踏みつけて感触を確かめつつ、私は一護が繰り出す次の攻撃に備えた。
つい先日から始めたレベル五のトレーニングである実戦形式……の前段階、レベル四・五の練習だ。一護が一方的に攻撃してくるのに対し、私はひたすら回避や防御をしまくる。こちらが慣れていなかろうが彼はけっこう加減なく斬りかかってくるので、正直喋る余裕はほとんどない。
「そろそろ一時間だ。終わっとくか?」
「ん。後は、模擬戦お願い。今日は絶対に一本取るから」
そう言いつつ地面に降り立ち、私は短剣の切っ先を一護へと向けた。毎回、空中歩行の練習のシメには全力の模擬戦をやってエネルギーを出し尽くすのがお決まりになっている。
相手の背中を地面に付けたら一本という単純なルールで、私の勝率は今のところゼロ。単純な力のぶつかり合いでは敏捷重視のこちらが不利だし、それに、悔しいけど戦闘技術では一護の方が数枚上手だ。つい半月前くらいに見せてくれたバグ技級の『アレ』を使われたら手も足も出ないけど、それがなくても勝てる確率はかなり低い。
けど、そんなことは退く理由にはならない。勝てなかろうと、退くわけにはいかない。そんなことで後退りしてたら、百層に到達する前に絶対に心が折れてしまう。その程度の強さじゃ、この世界を叩き壊す力には程遠い。目の前で刀を構える、彼くらいの強さがないと。
「……先手はやる。来いよ」
「いいの? 絶対に後悔することになるけど」
「上等じゃねーか、させてみろよ」
そう言って、一護は不敵に笑って見せた。頭の中のギアが、ガ音を立てて上がっていくのが分かる。音もなく短剣を抜いた私は重心を落とし、
「―ー【恐怖を捨てろ。『死力』スキル、限定解除】
限定解除を行使。敏捷力を跳ね上げて、低い姿勢から一気に突貫した。
「テメッ、模擬戦で限定解除はズリーだろ! 前に反則認定したの、ドコの誰だっての!!」
「知らない。言ったでしょ、後悔することになるけど、って!!」
『死力』スキルの限定解除は、ステータスを上昇させる代わりにHPが減るスキルだ。けど、模擬戦闘で使った場合、後者の効果が消える。つまり、デメリットなしの超強化スキルになるわけだ。
本来なら確実にパッチ修正がなされるはずだけど、この世界にはデバッガーもプログラマーもいない。現在このスキル自体を保有してるプレイヤーは滅多にいないし、模擬戦闘で有利になる以外にメリットを感じたことも、今のところない。なら、今その恩恵を活かさないでどうするというのか……確かに、ちょっと卑怯だけど。
短剣の持ち味である軽量性と
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