Chapter 4. 『堕ちてゆくのはぼくらか空か』
Episode 25. Unavoidable Subjugation
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だ半分以上残ってはいるが、今の悪者映画さながらの攻撃で戦闘意欲を大きく削げたとは思う。あまり気持ちのいいものではなかったけれど。
「このっ! 触らない、でっ!!」
「ぐッ!?」
男の苦悶の声と鈍い音が同時に響き、私は横目でそちらを見やる。視線の先で、アスナの純白のブーツの先が、ザザの股座にめり込んでいた。どうやら、自身のレイピアを掴んで止められたことへの反撃措置だったらしい。
細い刃を握り締める手の力が緩んだ瞬間に、素早く剣を引いて単発の刺突を一撃。相手を大きく退かせつつ、反動でアスナ自身も距離を取った。先ほど投げた短剣を回収しつつ、私は彼女の隣へと合流する。
「……アスナ、男にえげつないことする」
「ふんっ、女子の持ち物にベタベタ触るからよ。そっちこそ、あの覆面にすっごくグロい攻撃してたじゃない」
「女子の身体を刃物で刺した。当然の報い」
「似たようなものでしょう」
「似てない」
いつものノリで会話をしつつ、しかし気を緩めることは無く、私たちは再度立ちあがった二人を注視していた。HPはジョニー・ブラックが六割強、ザザが八割弱。一方の私たちは、アスナが七割、私が八割から微減中といったところ。油断はできないけど、慌てる状況でもない。
それに、もうじきアスナの部下たちが帰ってくるはず。そうすれば数の利を活かして連中を制圧できる。いくら連中がラフコフの幹部であっても、二対多を掻い潜って逃走できるだけの力はないだろうし。
迫る勝利を確信しつつ、私は更なる追撃のために一歩を踏み出そうとして――異変に気付いた。索敵スキルによる感知エリア、その境界線の端から、複数の反応が迫ってきていた。
「チッ、やっと来やがったか。トロいってんだよ」
「文句を、言うな。主目的は、達成できた。退くぞ」
片目から血に似た真紅のエフェクトをまき散らしながら舌打ちをするジョニーブラックを、ザザが窘める。そのまま武器を納めた二人は素早く身を翻し、林の中へと消えていった。一瞬後を追おうかとも思ったけど、すぐにそれが愚策であると判断し、足を止めた。
狡猾なあの連中のことだ。退路に私が引っかかったようなトラップを仕掛けている可能性は十分高い。それに去り際の台詞からして、新たなトレインをこっちに差し向けたのもまた奴らであると思われる。私たちの前にたった二人で現れた目的も判明していない。不確定要素が多すぎる以上、ここは堪えて第二波に備えなければ。
腰のポーチから解毒結晶と回復結晶を取り出し、連続して自分に使う。値が張る代わりにその即効性はかなり良い。あっという間に全快したところで、索敵スキャンを実行。敵軍の数と位置を把握する。
「……また、数が多い。見える範囲で三十二。カーソルから判断して、うち
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