Chapter 4. 『堕ちてゆくのはぼくらか空か』
Episode 25. Unavoidable Subjugation
[2/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
同時に、ヒュッ、という空気を裂く音。私の胸元目掛けて飛んできたスローイングダガーを空中で打ち落とし、それを追うように肉薄してきた奴と斬り結んだ。刃がかなり薄いナイフだけど、思ったより衝撃が強い。素早く受け流し、拳打を返す。
「っとぉ!」
スウェーバックで私の拳を躱し、ジョニー・ブラックはそのまま距離を取る。同時に左手が懐へとすべり込んだのが見えた。その手が振り抜かれ、今度は三本同時にダガーが飛来。避けきれない一本だけを弾き、残りを横っ飛びで回避した直後、着地した左足が不自然に大きく滑った。
「っ!? 隠蔽罠――」
「ビィーンゴ! んでもって、そのままくたばっちまえ!!」
咄嗟に右足でけんけんするようにして、グラついた体勢を立て直した。けどそれより早く、ジョニー・ブラックは私の眼前まで接近していた。短剣を引き上げてガードする前に相手のナイフが閃き、私の脇腹に突き立つ。不快な感覚が体内を貫き、私は思わず顔をしかめた。
「へっへぇ!! まずはワーン、ヒットォ!! さてさて、アンタにくれてやる状態異常はぁ……ちぇっ、ただの『猛毒』かよ。シケてんな」
ナイフを突き立てたまま、頭陀袋の男は不満そうな声を漏らす。
どうやら奴の台詞からして、このナイフは相手にランダムな状態異常を与える武器みたい。だけど、『猛毒』は出る目としては確かにハズレに近い。『麻痺』みたいに動けなくなるわけでも、『混乱』みたいに前後不覚になるわけでもない。HPが三秒ごとに○・五パーセント減っていくけど、即死はしないし。
よって、焦る必要など何処にもない。
私はナイフを引き抜こうとした奴の手を左手で掴んで止め、同時に短剣を上空に放る。
ジョニー・ブラックの目がそちらへ向いた瞬間、右手の五指を揃えて構え、奴の注意が戻る半瞬前に、
「くたばれ」
「アグィッッ!?」
奴の左目へ、イエローに輝く手刀をぶち込んだ。
発動した体術スキル零距離技《エンブレイザー》は、射程が短い代わりに貫通力に特化している。攻撃した部位が柔らかい眼球部位なら、どんなプレイヤーが相手だろうと確実に貫通する。視覚も奪えるし、一石二鳥だ。
眼窩にめりこんだ手刀を引き抜くことなく、私はさらに追撃する。突き刺さったままの指をフックのように折り曲げて、簡単に抜けないようにして頭部を固定。次いで右足を思いっきり振りかぶる。
そして、予想外の攻撃を食らい碌に動けないらしい相手の顔面目掛けて、全力の膝蹴りを叩きこんだ。
スキル攻撃ではないものの、顔面に続けて直撃を受けたジョニー・ブラックは悲鳴を上げることもなくふき飛んで、もんどりうってそのまま倒れた。
HPはま
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ