Chapter 4. 『堕ちてゆくのはぼくらか空か』
Episode 24. Deadly Dash
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いうの、慣れてるから」
門の柱にもたれ掛かりながら会話しつつ、私は辺りを見渡した。血盟騎士団の援護によって、街中の戦闘もほぼ終息している。隊伍を組んだ白服の騎士たちが駆け回り、救護や残党狩りにと忙しくしている。
「仲間から連絡が来たわ。北と東も落ち着いたみたいね。一護とクラインさんも無事みたい」
「……そう、よかった」
一護がこれくらいでやられるとは思わなかったけど、思わず少し安堵する。懸念がなくなり、戦闘で煮えたぎった頭を冷やしつつ、私は今回の襲撃について考えを巡らせた。
まず、これはイベントではない。イベントであるなら襲撃と同時にクエストログが更新されるからだ。襲撃時も終わった今もそれがない以上、このモンスター群はシステム側が意図的に発生させたものではない、ということになる。
では偶然に発生したのか。これもあり得ない。
モンスターがあれほどの群れをなすのは、モンスターハウスのトラップに引っ掛かったりしたときだけだ。それが圏外村に向かって、しかも三ヶ所同時に襲いかかるなんて、聞いたことがない。
だとすれば、残る可能性はただ一つ。
誰かが意図的に発生させた。
考えるに、今回の件は複数のオレンジプレイヤーが関わった集団PKではないだろうか。モンスターを引き連れて圏外村まで撤退し、何らかの手段で離脱するかあるいは街の人々に紛れ込むかする。昼時で多くのプレイヤーがいる中なら、そう難しいことではないように思う。
だが、問題が一つ。そこまでのことをなし得るプレイヤーが、オレンジプレイヤーにいるのだろうか。
オレンジプレイヤーのレベル帯は明確には不明だが、一般にはボリュームゾーンより上かつ攻略組と同等以下と考えられている。活動域が中層付近である以上、その辺りが妥当なのだろう。だけど、そんなレベル帯の奴らが最前線で、同レベル帯のモンスターをトレインするなんて、考えるだろうか。あまりにリスクが高すぎる。
一体、何がどうなっているのか。
落ち着いてきた思考を働かせ、原因に関する考察を進めようとした――直後、背中に悪寒が走った。反射で短剣を振り抜きつつ、その場から大きく跳びすさる。
「おーぅ! スッゲえ反応!! やっぱ『闘匠』はダテじゃねーや」
「……やかましい」
そこには、二人のプレイヤーがいた。
接近警報が鳴らないギリギリの距離で、林の中に立っている。獲物は片方がナイフで、もう片方はエストック。ぼろ布のようなフードに包まれていて、顔はよく分からない。声からかろうじて、共に男であることだけは推測できる。
しかし、頭上のオレンジアイコンと、手に刻まれた棺桶からはみ出す骸骨のタトゥーによって、彼らが何であるかは容易に分かった。
「……|殺人《レッ
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