Chapter 4. 『堕ちてゆくのはぼくらか空か』
Episode 24. Deadly Dash
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「……まさか、他の門からも来てるの?」
思わず呟いた。
その私の言葉を証明するかのように、視界の端々からモンスターが襲来してきた。怒号や悲鳴が上がる中、各所で戦闘が開始される。
「まずい、このままだと退路がなくなる。なんとかして追い返すしか――」
「でも数が数だ。俺らじゃ手が足んねえよ!」
「分かってる。一護、貴方はここをお願い。私は他の大門からの敵を止める。既に侵入してきた連中は、街中の攻略組に任せるしかない」
北大門は空中回廊に繋がるせいか、こちらに迫ってくるモンスターは飛行型がほとんどだ。対して、南と東の大門に繋がるのは陸上回廊。侵入してくるのが地上型主体だとすれば、空中戦闘に長けた一護は北、私が南か東に行くべきなのは自明。
私がそう説明すると、一護は少し考えたみたいだけど、すぐに頷いた。
「分かった。こっからは別行動ってことだな」
「そう。とにかくモンスターの波を押し返して、それが済んだら街中に散った奴らの掃討。おーけー?」
「ああ」
再び頷き、一護は私を見下ろした。迷いのないブラウンの目を、私は真っ直ぐ見つめ返す。
「……リーナ、無理はすんなよ」
「ん、貴方も」
「なんだよ、えらく素直じゃねーか」
「失礼な。私はいつでも、純真無垢かつ可憐な乙女」
一護は私の言葉を鼻で笑いつつ、刀の切っ先をこちらに向ける。一瞬何かと思ったけど、すぐに理解して短剣を突き出す。刃が合わさり、キンッ、という澄んだ音が響いた。
「じゃあな!!」
「ん」
その音が消えない内に、私たちは互いに背を向け走り出した。
すでに各所で戦闘がおこなわれている以上、普通に走り抜けることは出来ない。私は宙を踏みしめて跳躍し、家屋の屋根へと着地。そのまま屋根から屋根へと跳び移りながら、速度を殺さず全力疾走する。
遠くに見えた東大門では、風林火山らしいプレイヤー集団が迎撃に当たっているのが見えた。ならば、私の担当は残る南大門だ。たまに飛んでくる飛行型モンスターを躱しながら、残りの数百メートルを一息に走破した。
南大門の前に着き、屋根から飛び降りて短剣を構えた。流石に大部分のモンスターが門を突破していたけど、まだ門前広場に留まってる。今なら間に合う。
一番手前のモンスターに強打を叩き込んで注意を引き付ける。獣人系に人形系、植物系と多様なモンスターたちの目が、揃って私の方を向く。まるでモンスターハウスだ。
「フッ!!」
鋭く息を吐きつつ、私は向かってきた敵の群れと刃を交えた。いつもなら一護が前に出て注意を引き付けてくれるんだけど、今回は単騎故に、そうはいかない。
動きを止めないよう留意しながら、攻撃を避け、受け止め、捌き、隙あらばローリスクな単発
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