暁 〜小説投稿サイト〜
Deathberry and Deathgame
Chapter 4. 『堕ちてゆくのはぼくらか空か』
Episode 24. Deadly Dash
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蜂蜜がかかったトーストなのかトーストが漬け込まれた蜂蜜なのか分からなくなっていた代物――でもいいかもしれない。

 早くもそんなことを考えつつ、新しいパイに手を伸ばそうとしたとき、

「っ!?」

 常時展開の索敵スキルによる警報(アラート)が、私の脳内に響き渡った。
 すぐさまマップを開き、索敵スキルと連動。敵影を映し出す。

 そこには、

「……一護、前方から多数のモンスター反応! 数は……およそ三十!!」
「はぁ!?」

 突如現れた大量のモンスターに、私は思わず大きな声を出した。向かいでハーブティーを啜っていた一護も、頓狂な声を上げる。

「理由は不明。けど、その全てがこっちに向かって突撃してくる。多分、もう三十秒もしないで北大門(あそこ)から雪崩込んでくるはず」
「お、おいおい、シャレになんねえぞ……いくらここが最前線の街だからっつても、レベル六十台のモンスターの群れに襲われりゃあ、一っ溜りもねえぜ! イベントでもねえのに、なんでいきなり……!]

 クエストログの更新がないことを確かめ、顔を引きつらせるクラインを余所に、一護はすでに『壊天』を抜刀していた。どこぞのフィールドボスからドロップした白銀の魔刀が、昼の陽光を反射して獰猛に輝く。
 前の『宵刈』と違ってちゃんとした日本刀の形状はしているが、その性能は前愛刀同様、耐久値と火力特化型の脳筋(ノーキン)仕様だ。小細工より真っ向勝負で力を発揮する一護向きではある。

「ごたごた言ってる場合じゃねえだろ! 俺らで止めに行くしかねえ!! 行くぞ!!」
「クライン、貴方は仲間と一緒に避難を呼びかけて。完了するまで、私たちが足止めする」
「お、おう!! おめえら、気ぃ付けろよな!!」

 胴間声で私たちの身を案じる言葉をかけてくるクライン。少し心配そうな彼に首肯を返し、私たちは一気に北大門までの百メートルをダッシュで詰めた。すでにモンスター群の隊列が、門のすぐ先に見えている。

 空中回廊から押し寄せてくるだけあって、飛行モンスターの割合が多い。城壁を超えては来ないみたいだけど、門から殺到してきたら少なくないパニックを引き起こすことは目に見えている。ここで少しでも長く食いとめないと……!

 短剣を握り締めて腰を沈め、戦闘体勢を取ったその時、索敵スキルの接近警報が作動。同時に、

「リーナ! 後ろだ!!」

 一護が叫んだ。

 即座に振り向きつつ短剣を一閃、牽制しつつその場から逃れる。
 見れば、鳥獣系飛行モンスター『キル・エア』が二体、頭上で旋回しながら私たちに狙いを定めていた。ハイドアタックを許したことに歯噛みする。

 けど、いつの間に門の内側に入ったのだろう。少なくとも、北大門からはまだ侵入されていないのに。

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