Chapter 4. 『堕ちてゆくのはぼくらか空か』
Episode 24. Deadly Dash
[2/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
思われる。
先日食べた、外見がチュロスのくせに苦酸っぱ辛く、しかもバニラエッセンスの匂いがする謎フードを思い出して少しげんなりしていると、
「おっ、イチの字にリーナ嬢ちゃんじゃねえか。往来激しいこの街で堂々とピクニックデートたぁ、今日も絶好調ですなあ」
「うっせえな。別にデートじゃねえし、メシが不味くなるからどっか行けよ、クライン」
現れた野武士然とした無精ひげの男、クラインに、一護は鬱陶しげな目を向けた。知り合ったのはかれこれ半年前のボス戦。以来なにかと会うことが多く、特に一護と波長が合うらしい。一護の方もつれない態度を取っているわりには親しくしていて、たまにエギルやキリトと一緒に、だらだらしながら飲んでいるようだ。
そんな一護の半眼をスルーして、クラインは私たちの横にどっかりと腰を下ろした。ため息と共に口から洩れた「どっこいしょ」の台詞がオッサンくさいことに関しては、触れないでおこう。
「けっ、相っ変わらず愛想の無え野郎だな。あれか? 二人っきりの時間を邪魔されて不貞腐れてんのかコノヤロウ」
「ちげーよ。オメーのきったないヒゲ面見てると食欲が減衰すんだよ。大体、メンバーの一人も連れねえで、ギルドリーダーサマが最前線でなにやってんだ」
「他の連中は買い出しだ。俺はその間、暇潰しにお散歩さ……お、コレ旨そうだな。イタダキぅおうっ!?」
「他人の食べ物盗らないで。刺すよ?」
「刺した後で言うんじゃねえおっかない!! ココ圏外だろ!!」
不躾にも私お気に入りのミートパイをくすねようとした愚か者の右手を、私はナイフで切りつけた。大事な食べ物を護るためならオレンジ化だって辞さない。ここ最近私の心をもやもやさせてる恋愛事を持ち出した罪も含めて、その身で償え。
あの日以来、私は「恋愛を連想させる単語」にやけに過敏になってしまった。
「好き」とか、「デート」とか、「二人きり」とか、そういう単語を聞くたびにその方向に電光石火で反応したり、一護の顔を盗み見てしまったりする。大抵は私たちに向けられたものではないし、そもそも聞き違いだったりすることもある。けど、何度繰り返しても、自身の過剰反応が治まることはなかった。
でも、それだけだ。
気が付けば一護の姿を目で追ってたりとか、してない。
彼の言葉に内心で一喜一憂したりとかも、してない。
お風呂上りで薄着の一護をチラ見? 絶対にしてない。
……してないったら、してない!
またもやもやし出しそうになった頭を左右に振って、脳内をリセット。残り少ないランチへと興味を戻す。
軽く八人前くらいは買ってきたのに、もうなくなりそうだ。またどこかでオヤツを調達しないと。この前食べた『ハニーハニートースト』――蜂蜜の量が多すぎて、
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ