第6章 流されて異界
第133話 アンドバリの指輪
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がおかしい。
行動が少し積極的に成って居るのはハルヒの様子がおかしかったのと、弓月さんの動きの影響でしょう。更に、先ほど、俺自身が彼女の気の活性化を行った結果の可能性も大。
少し考えるような間。真っ直ぐに俺を見つめたまま、微かに首肯く有希。少し積極的に成って居るとは言え、冷静な彼女がそう難しい要求をして来るとは思えないので、今回はこれで十分ですか。
受け取って貰えたので、後は指輪が発する気配の正体に彼女が気付いてくれたのなら、今彼女が感じている寂しさやその他が、勘違いである事が理解出来るはず。
後は、俺が自らの未来を変えるだけ。俺が暮らす世界は未来が絶対ではないから。必ず同じ軌跡を描き、同じ未来が訪れる世界などではなく、ほんの少しのかけ違いからまったく違う未来が訪れる可能性がある世界のはず、ですから。
首肯いた後に、アンドバリの指輪をセーラー服の胸ポケットに納める姿を見つめながら、そう結論付ける俺。何にしても自らが、これまで以上に気合いを入れて事に当たる必要がある。
……そう言う事。
そんな俺を、上目使いに見つめる有希。少し潤んだ瞳。沈黙と小さな首肯。
そして――って、おい!
「有希、オマエ、さっきから何をしようとしているんや?」
今度は俺の首に腕を回し、再び少し背伸びをして、俺の顔に自らの顔を近づけようとする有希。普通に考えると、これから口づけを行おうとしているようにしか考えられない行為。
……なのですが、彼女は軽く甘噛みする事によって治療用のナノマシンを注入する事が出来る、と言う特殊な能力がある。
もしかすると、何らかの病の兆候が俺にあると有希が考えて居るのか、それとも――
そう考えながら指一本で接近しつつあった彼女を押し止める俺。
しかし――
「問題ない」
何もかも普段通りに。淡々とした口調。表情は無で小さく呟くようにそう言う有希。但し、感情の方は非常に不満そうな雰囲気を発生させている。
……確かに彼女が説明をせずに何か始めたとしても、俺に取って不利になるような事を為すとも思えない。
ただ――
「一応、聞いて置くけど、もしかしてオマエさんは、俺の身体にナノマシンを送り込んで運動能力や思考能力をアップさせる、などと言う事が出来るのか?」
それなら、わざわざ頸動脈などから送り込まなくても、腕の血管からナノマシンを送り込んで貰えた方が有り難いんやけど――
緊急を有するのならいざ知らず、抱き着かれ、首筋に彼女の吐息を感じながら甘噛みされるって……。
命のやり取りをする前には流石に勘弁して貰いたい。
確か現在の科学で再現可能で、一般的なスポーツ競技では禁止されているドーピング行為の中には、一時的に血液の量を増やす方法があっ
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