第6章 流されて異界
第133話 アンドバリの指輪
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と思う。
言葉だけで納得してくれ、と言っても無理か。家族が戦場に赴くと言うのを快く送り出してくれる訳はない。
むしろ留めて当然だし、本当にオマエが行かなければならないのか、もう一度ちゃんと考えてから結論を出せ、……と言う言葉が出て来ても不思議ではないと思う。
逆の立場。俺が彼女の立場に立つのならば、間違いなくそう問い掛けるから。
それに、彼女に取っても俺は唯一の家族。創造物として彼女に、心がない人形としての行動を強いていた邪神……情報生命体に対する感情は、家族に対するソレだとは言えないだろうし、それ以外の人物に対しても家族と言える相手は居なかったはず。
朝倉涼子に関しては唯一ソレに近い間柄かも知れないのだが、現状では朝倉涼子自身が未だ一般人のサイドに属していて、こちら側の存在に成り切っていない。
これは、長門有希が今の俺に固執したとしてもなんら不思議な事はない、と言う事か。
それが人間で言うトコロの恋愛感情……少なくとも独占欲に近い感情である事も、この旅行の際の彼女の不機嫌さやその他の態度などから推測出来る。
一日の半分はずっとふたりだけで過ごして来たのだから、其処に他者が入り込めば多少は不機嫌にもなろうと言う物。まして、彼女に取って俺は父親にも等しい存在。生命の恩人で、生活の糧を得る方法や生きる目的をもたらせた人物であり、最初の術の師であり、背中を預ける相棒であり――
手の掛かる子供のように感じている部分もあるらしい。
彼女は元々創造物。情報生命体に使われる事を前提に造り出された存在であるが故に、誰かに使われる事。つまり、誰かの世話を焼きたい、と言う強い願望があると思う。これは付喪神系の無機物に魂が宿った時に、この世話焼きさんタイプの人格となる事が多いのですが……。
その彼女の目の前にずぼらで面倒臭がり。しかし、妙に知識の幅が広い俺が現われた。
今の俺は妙な柵に囚われているけど、二〇〇二年二月段階の俺ならば完全にフリーの状態。この辺りは異世界だろうと、何であろうとあまり違いはない……と思う。
そう言う方向から見ると、ハルケギニアの連中であろうが、ハルヒや弓月桜であろうが変わらない。有希からしてみれば後から出て来た相手に、まるで自分の父親……それも少し世話の掛かる父親を取られようとしている気分だと思う。
無意味な方向に傾く思考。しかし、直ぐに首を振り前向きな方向に戻そうとする俺。
それは至極真っ当な結論。万の言葉を紡いでも納得して貰う事が出来ないのなら、行動で示せば良い。
ただそれだけの事。
それならば――
「有希、ひとつ頼みがある」
メガネ越しの少し潤んだ瞳が見つめている目の前で、突然、学生服のボタンを外し始める俺。そのような行き
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