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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第十三話 改変の始まり
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し、ミュッケンベルガーも全く期待していない……。

 おそらく第359遊撃部隊、通称カイザーリング艦隊は4のケースに当てはまる艦隊の一つなのだろう。哨戒任務を主としているという事は、何処かで敵とぶつかって戦死しても自己責任、宇宙艦隊司令部は関係ありません、という事に他ならない。やれやれだ、カイザーリングがフレーゲルのような阿呆でないことを祈るのみだが、変だなちょっと引っかかる。

カイザーリング、何処かで聞いた気がするんだが何処だろう、ラインハルト絡みじゃない。ヤンでもない。妙だな銀河帝国正統政府にでもいたかな……アルレスハイム星域の会戦だ!!! なんてこった。サイオキシン麻薬でラリったまま同盟軍と戦い6割以上の損害をこうむったあの戦いだ。

帝国暦483年、帝国軍カイザーリング中将の艦隊がアルレスハイム星域で自分たちより優勢な同盟軍を発見した。カイザーリングは奇襲をかけようとしたが、艦隊の一部が命令を待たずに暴走、数で劣る帝国軍艦隊は同盟軍艦隊の反撃に遭い、6割の損傷を出して敗走している。

暴走の原因だが補給責任者であるクリストファー・フォン・バーゼル少将が艦隊にサイオキシン麻薬を持ち込み、それが気化したことから兵士が急性中毒患者となったためだ。後日、軍法会議ではカイザーリングは何の弁明もせずバーゼルをかばっている。

理由はバーゼルの妻ヨハンナに対する想いからだった。帝国軍上層部の怒りは大きかった。但しこの時点ではサイオキシン麻薬のことを帝国軍上層部は判っていない。帝国軍上層部は部下に対する統制力の欠如、無秩序な潰走が敗因であり、カイザーリングの指揮官としての能力の欠如ゆえに大敗が生じたと考えたのだ。

他の貴族に対する見せしめの意味もあったろう。カイザーリング中将は少将に降格された上退役処分となっている。それも皇帝フリードリヒ四世の重病が快癒したため恩赦があってのことだ。本来なら死刑だったろう。
  
「まずいな」
 俺は思わず口に出した。サイオキシン麻薬、損傷率6割だ。俺は旗艦に配属だから死ぬ事は無いだろうが、サイオキシン麻薬中毒というのは洒落にならない。あれの毒性は極めて強く、特に催奇性と催幻覚性が強いのだ。取締には帝国と同盟の刑事警察が秘密裏に協力した事もある。それほど危険なのだ。

待てよ、旗艦配属でも死ぬ可能性が無いとはいえないか、ロイエンタールの例も有る。トリスタンは生き残ったがロイエンタールは死んだ。カイザーリングは生き残ったが、俺が生き残れる保証は無い。確実に死亡フラグが俺に迫っているのが判る。俺が死亡フラグを折り、生き残る確実な方法はバーゼルをサイオキシン麻薬密売組織の長として逮捕することだろう。どうすれば逮捕できるか……。

 俺はこの日、生き残るために必死で対策を考えた。その事が歴史を変える
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