Chapter 4. 『堕ちてゆくのはぼくらか空か』
Episode 23. Rainy, Sandy
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未知の感覚に、漠然と不安になる。
果たして、私の感情の真実はなんなのか。
友愛?
親愛?
――それとも、恋愛?
どれでもいい。今までの私ならそう斬り捨てたはずだ。
私の感情がどうであれ、一護が私の相方であることに変わりはない。彼が私を信じてくれていることは伝わってくるし、私が彼を信じていることもまた、伝わっているだろう。それで十分ではないか、そう一蹴しただろう。
しかし、キリトに恋しているというシリカの言を受けて、その「普段の私」が揺れ動いてしまっているように感じる。一護への感情の奥の奥、一番底にあるものがなんなのか、気になって仕方がない。
「………………だめ、寝よう」
ぐしゃぐしゃになった思考をかなぐり捨てるようにして、私は本格的にお昼寝の体勢を取った。目を閉じ、小さなクッションを瞼をの上に乗っけて、アイマスクの代わりにする。すぐに訪れた穏やかな暗闇に、私はゆっくりと意識を投げ打つ。さっきまで考えていたあれやこれやがそのまま溶けて流れていくのを感じながら、緩やかな眠りへと、私は落ちて行った。
意識が完全に途切れる一瞬前、私の脳裏に、ある一つの疑問が浮かんだ。
とても単純な問いではあったけど、それの答えを探す前に、私の意識は睡魔に飲まれていった。
――真実は置いといて、私は一護にとってどういう存在でいたいんだろ?
◆
「……ん……?」
物音で目が覚めた。
顔の上に乗っかったクッションを退けると、煌々と明かりが灯った室内で一護が武装を解除しているところだった。買い出しにでも行ってきたのか、卓上には食材アイテムが山と積まれている。
声を掛けようとして、一瞬だけ躊躇した。昼間の一件のせいで、なんとなく恋愛方向に意識が行ってしまう。照明に照らされた端正な顔から、視線が離れない。
一度深呼吸して心を落ち着け、なるべく普段通りの無表情を心がけながら、抑揚のない声で一護に呼びかける。
「……おかえり」
「ん? ああ、ただいま。昼間っからずっと寝てやがったのかよ。あんま昼寝ばっかして――」
「夜寝れなくなっても知らない、でしょ? 大丈夫、丸一日でも寝てられるから」
一護の言葉に被せるようにして言いつつ、ソファーを降りてテーブルに近くに寄る。この前食べた黒ロブスターの他に、モンスターの肉や魚、野菜に果実、調味料に至るまで、所せましと並んでいる。確かに直近の買い出しからは日が経っていたけど、なにもこんなに買い込んでくる必要はないはずだ。
気になって一護に問うと、彼は「ヒースクリフからの土産だ」と答えた。
今日の訓練に協力したお礼として、報酬金とは別にもらったらしい。ホームを買った故の金欠解消
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