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Deathberry and Deathgame
Chapter 4. 『堕ちてゆくのはぼくらか空か』
Episode 23. Rainy, Sandy
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まにこっちに飛んでくる通行人からの視線も鬱陶しいし、この辺でお開きにしよう。

 シリカもそれは同意見だったらしく、食後のデザートと共に軽く雑談を交わし、ついでにフレンド登録をしてから、彼女と別れることにした。

 転移門広場まで送りホームタウンへと帰っていく彼女を見送ってから、私もホームへと帰り、そのままソファーへと倒れ込んだ。時刻はまだ昼過ぎで、外は相変わらずの小雨。陰鬱な天気の中散歩に出る気力もなく、大きなソファーに寝っ転がり、クッションに埋もれて天井を見る。
 このままボケッとしていれば、勝手に眠くなっていつしか寝れる。そのまま夕方まで寝ていれば、一護が帰ってきて起こしてくれるだろう。いつものしかめっ面で、夜寝れなくなっても知らねえぞとかなんとか言いながら――、

「…………一護と私、か」

 ふと、さっきまでの会話を思い出す。

 一護と私がコンビを組んで、一年半が過ぎている。
 色々なことがあった。何度も倒れ、傷つき、死にかけて、それでも生きて帰るため、日々を必死で生きてきた。この世界に馴染みつつ、それでもデスゲームであることを忘れずひたすらに鍛練に励んできた。その中で強い信頼感は生まれたものの、それが恋へと変化することは決してなく、お互いを「そういう相手」として意識するようなことはなかった。

 そもそも恋愛事が話題に上がることもなかったし、互いを恋愛的好意の相手として見たこともない。一護は私を妹や女友達のように扱うし、私も彼に身内のような振る舞いを取っている。
 二人で同じものを食べたり、飛びついてみたり、時にはソファーで揃って昼寝をすることもある。しかしそこに恋の情はなく、家族に向ける親愛だけが存在した。相方という言葉で足りなければ、家族のような、この世界で一番近しい存在。ずっとそう思って一緒にいた。

 ――だけど、本当にそうなのだろうか。

 一護が私以外にご飯をおごった時に感じるイライラ。
 あれは想い人が自分以外に優しくしていることへの嫉妬ではないのか。

 サチが一護へ向けていた熱い視線。
 あれを見たときに感じた複雑な感情は、彼女が変わってくれたことへの嬉しさと、もしかしたら彼が取られてしまうかもしれないという子供じみた不安の混合物ではなかったのか。

 何より、今まで「相方なら、信頼している仲なら、これくらい当然」と思い、してきたこと。
 同じ部屋で寝起きし寄り添い共に歩むことに抵抗が無い、むしろそれを自発的に望むことは、女性として彼に惹かれていることの証左ではないのか。

 さっきまでの話のせいか、そんなことが頭をよぎる。
 普段の自分の行動、感情が全て一護への恋の裏返しなのだとしたら。そんな考えが脳内を席巻し、澱のように心の底へと溜まっていく。今まで感じたことのない
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