暁 〜小説投稿サイト〜
Deathberry and Deathgame
Chapter 4. 『堕ちてゆくのはぼくらか空か』
Episode 23. Rainy, Sandy
[4/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ンに手を付けながら、私はシリカに問いかけた。あのコミュ障気味の真っ黒剣士に、アスナとアルゴ以外の女性の知り合いがいたとは、ちょっと予想外だ。

「は、はい、ちょっと前にフィールドに助けてもらった縁で……あの、リーナさんは、キリトさんとどういう関係で……?」
「普通の友人。以上でも以下でもない」

 迷うことなく端的に言うと、不安そうな色を見せていたシリカはあからさまにホッとした表情を浮かべた。とてもわかり易い反応に、そういうことに疎い私でも彼女の心中が手に取るようにわかった。

 つまり、

「貴女、キリトに惚れてるの?」
「ほ、惚れっ!? なんで分かったんですか!?」
「その顔を見れば分かる。安心して、私は外野だから」
「は、はいぃ……」

 赤くなった顔を押さえながら、シリカはアイスカフェオレを口に運び、

「そ、そうですよね。リーナさんの恋人は、あの『死神代行』さんですもんね。他の男性に浮気なんてするはずが――」
「……恋人?」


 一護が、私の、恋人?


 飛んできたその言葉に、私のフォークが止まった。刺さったチキンを頬張ることなく、思わず聞き返してしまう。

 対して、シリカは怪訝そうな表情を浮かべ、小首を傾げながら答えた。

「はい、お二人は一年以上同棲を続けてらっしゃると聞いてます。すっごく仲が良いカップルだって、中層ゾーンの雑誌で特集されてましたよ?」
「……同じ部屋で寝泊まりしてたのは、単に宿代節約のためなんだけど」
「あと、カップル御用達のハート型ケーキを二人で仲良く食べてたりとか」
「注文するには男女ペアじゃなきゃいけなかったから、彼に協力してもらっただけ」
「あ、フローリアのお花畑で仲睦まじくデートしてる写真とかもあったり――」
「その特集の執筆者だれ? 私がこの手でぬっ殺してやるから」

 いくらなんでも私生活がダダ漏れ過ぎる。迷宮区に挑んだり、強力なモンスターが出現する『巨大花の森』に行くために四十七層の花畑を通過したことは確かに何度かあったが、デートしたことなんて一度もない。大袈裟に脚色されたであろうその記事とそれを書いた誰かさんに怒りを覚え、つい口調が強くなってしまった。

「え、えっとすみません。書いた人の名前まではちょっと覚えてなくて……え、じゃあ、リーナさんと一護さんは、恋人じゃない……?」
「当然。彼は私のパートナー。このフザけた世界から出るための、無二の相方。比類ないくらいに信頼してるけど、恋仲じゃない――ごちそうさま」

 迷いの欠片もなくそう断言し、私は大口を開けてチキンの最後の塊を頬張った。スパイスの効いたそれを飲み込み、大きなグラスで注文しておいたアイスティーでリフレッシュする。ランチも終わったし、ちょうど人の出も増えてきた。た
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ