Chapter 4. 『堕ちてゆくのはぼくらか空か』
Episode 23. Rainy, Sandy
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そう考えた私は一護とあれこれ考え、この練習方法に行きついた。
さらに、この練習の発展系として、一回置きに垂直着地や身体の上下を逆様にした反転着地を織り交ぜることで、下方向以外の足場構築の感覚も慣らしていく。常に足元に意識を込め続ける「空中直立」をレベル一、そのまま歩く「空中歩行」をレベル二とするのなら、これらの「空中跳躍」はレベル三といったところ。これら基礎技術に戦闘動作を加えた応用編がレベル四、そして実戦形式の練習がレベル五だ。
私が知っている中でこのレベル五まで完全習得しているのは、一護とヒースクリフの二人だけ。私やキリト、アスナなどの攻略組の大多数はレベル三前後に分布していて、観光目当てのプレイヤー勢がレベル一から二、といったところだろう。慣れてきたとはいえ、平地と同等、ましてやそれ以上の動きを見せる彼に追いつくには、まだまだ不足だ。
私は『死神代行』の相棒。
彼の隣に立つ以上、彼の足を引っ張るような無様だけは晒さないようにしなければ。自分を戒め、私は宙を跳ぶ間隔を狭めつつ感覚を尖らせていく。脳裏に先日の一護の戦いを描き、それを目指して、疾く鋭く宙を跳ぶ。
とりあえずまずは三時間、この動きを維持する。加速しつつ、地面に降りることなく動き続けるんだ!
――そんな風に決意していた時が、私にもあった。
結局、一時間もせずに私は地面に降りることになってしまった。
別にミスをしたわけではない。
跳躍の間隔の短縮は上手くいっていたし、垂直や反転着地も成功率は八割近かった。慢心もなく、落下する確率はゼロではないが限りなく低かったように思う。
にも関わらず、私が地に足を付けることになったのは、目の前の少女に原因があった。
背は私より五、六センチは低い。ゆったりした意匠のショートローブにミニスカート、腰には短剣を帯びており、最低限の防具類と合わせて彼女が敏捷系のダガー使いであることが容易に判断できる。
年の頃はおそらく十二、三といったところか。愛らしい顔立ちにツインテールに纏められたライトブラウンの髪、大きめの髪留めと全体的に幼さが感じられる。男性プレイヤー諸氏の庇護欲をさぞかしそそるであろう容姿だ。
このゲーム内で数少ない女性プレイヤーであり、しかもここまで幼く、かつ上層に出てくる程度の行動力を持つとなると、該当者は相当に絞られてくる。何より、その肩に寄り添うようにして飛んでいる青い小型ドラゴン『フェザーリドラ』の存在が、彼女の希少価値をさらに上げていた。
「あの、えっと、ご、ご指導、ありがとうございました! まさかあの有名な『闘匠』さんに教えてもらえるなんて思わなくて、本当に嬉しかったです!!」
「……構わない。ちゃんと代価はもらった」
六十一層のレストラン街。まだ昼
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