Chapter 4. 『堕ちてゆくのはぼくらか空か』
Episode 22. Stand on the Sky
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うな華やかなレストラン街――ではなくて、静かな主住区の西端だった。ここからは毎日きれいな夕日が見えるのだが、無論、それを目的にここへ来たわけじゃない。特に躊躇することなく、高台から空中へと身を躍らせ、空を翔ける。
主住区『ロザージュ』は大きな盆のような土台に乗っかった円形状の街である。その周りには、無数の島が浮遊していて、何もないただのちっぽけな無人島から、NPCのショップが建っているものまで様々な規模の島が存在する。
その中の一つ、真新しいコテージが建つ島に、私たちは降り立った。
ここは、つい三日ほど前に現金一括で購入した、私たちのプレイヤーホームだ。
お値段二百万コルポッキリのこのお家。シンプル家具一式が備え付けられていること、調理スペースが整っていること、なにより、四畳半はありそうな大きなソファー(クッション二十個付き)が付いていることに私がノックアウトされ、渋る一護を三十分かけて説得し、どうにかこうにか買うことができたものだ。この世界に来て初の七ケタ出費はかなり痛かったけど、私は後悔していない。
ホームがあれば宿を探して歩き回る必要はないし、島一つをこのコテージが丸々占拠しているから、ご近所トラブルなんてものも存在しない。
なにより、
「さあ一護、お腹が減った。ご飯の支度、はりーあっぷ」
「……はぁ。だからホームなんざ買いたくなかったんだよ」
「今日も素敵なディナーを期待してる。がんば、名シェフ一護」
やろうと思えば毎日三食、一護のご飯が食べられる。
このことは一護も気づいていたらしく、外食を好む彼は最後までこの点でごねていた。けど、私の誠心誠意の説得(という名の駄々)に結局は折れ、しかも我がままを通す条件として私が最初に提示した「一護五十万コル、私百五十万コル」を破棄。普通に割り勘でいいと言ってくれた。
流石に申し訳なくて、自分で我がまま言った分のお金は出すから、と言ったのだけれど、
「仲間内で金払いが不平等とか、意見通す代わりに金出すとか、キライなんだよ、そーゆーの。貸し一つにしとくから、その内どっかで返せ」
とぶっきらぼうに言われ、そのまま一人百万コルで購入してしまった。彼が意外と堅気で、ついでに優しいってことを再確認した瞬間だった。
とはいえ、流石にその言葉に素直に甘えるほど、私は恩知らずではない。
借りはどこかで返すとして、彼の食事準備の負担が増える分、彼が今まで担当していたモンスターハウス関連の情報収集やSSTAでの模擬戦の仮想役を引き継ぐことにした。一護を「ベリっち」と呼んでからかって遊んでいるらしいアルゴには、少し残念そうな顔をされたけど。
「リーナ、この前買ってきた真っ黒いロブスター的なナニカが山ほどあんだけどよ。なんか希望の調
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