Chapter 4. 『堕ちてゆくのはぼくらか空か』
Episode 22. Stand on the Sky
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空中回廊エリアの踏破は困難を極める。難しいからと言って放棄するわけにもいかない。
なにより、このシステムの使い方の巧拙がこの層での狩りの効率や戦闘の難易度に直結するとあって、血盟騎士団や聖竜連合といった大型ギルドを始め、多くの攻略組プレイヤーが真面目にこの空中歩行に取り組むことに。その結果として、主住区下の大草原ではガチ勢から観光目当ての者まで、多くのプレイヤーたちが空中で七転八倒する光景が日夜繰り広げられていた。
かくいう私は、初日で既に空中に立つ・歩く・跳ぶをカンペキにこなしている相方に教えを請い――その際、日頃のお返しとばかりに散々バカにされたが――三日をかけて、なんとか最低限戦闘に耐えうるレベルにまで達することができていた。
まだ一護のように「逆様の状態で上空に足場を作り、それを蹴って高速で落下」とか「敵の直前で正面に足場を作って緊急離脱」なんて高等技能はできない。それでも、足場を作れなくて両足が宙を掻き落下、なんて無様な真似はやらかさないようにはなってきた。お昼寝おやつを一切ガマンして練習した甲斐があったというものだ。無論、訓練完了後に露店に突撃して、一護が「無限バキューム」と呆れ果てる程にバカ食いしたのだけれど。
そんな過程を経た私と同様、一護に空中歩行を教わりに来た人は多かった。
結局は場数をこなすことでしか上達はしていかないが、それでも手本があるのとないのとではイメージの作り易さが段違いになる。『黒の剣士』キリト、『閃光』アスナ、攻略組ギルド『風林火山』にプレイヤー支援ギルド『SSTA』など、顔なじみを中心としたプレイヤーが一護の元に集い、文句たらたらの一護がもたらすアドバイスに従って銘々で訓練を重ねてきた。
そうして月日は流れ、六十一層解放から五日後の六月八日。
ようやく攻略組の空中歩行の技術がなんとか戦闘に耐えられるレベルにまで到達し、迷宮区へと続く陸空混合系広域フィールドダンジョン『エアリア楼閣』の攻略が開始された。
◆
ギルド本部に報告に行くと言うアスナと転移門広場で別れ、私たちはすっかり日の暮れた主住区を歩きだした。
彼女曰く、
「今日はほんの偵察のつもりだったのに、まさか最初のフィールドボスを撃破しちゃうなんて思わなかったわよ。貴方たちの協力があったって、団長にはちゃんと報告しておくから」
とのこと。
明らかに厄介事が追加で飛んできそうな発言に、一護が「余計なコトは言わなくていい」と返したのだけれど、その時にはもう、アスナは五十五層へと転移した後。とばっちりで私にも面倒が来ないとも限らないし、メッセージの一つでも飛ばしておこう。
前方ノールックでメッセージを打ちながらどうにか人ごみをかいくぐり、辿り着いたのはいつものよ
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